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国際連合の難民援助機関であるUNHCRは、難民の世界的な保護と難民問題の解決のために、国際的行動を主導・調整する任務を国連から委託されている。

 

UNHCRの主たる目的は、難民の権利と福利を守ることである。UNHCRは、他国に庇護を求めて安全な避難場所を確保する権利、および自主的に帰還する権利を、すべての人が確実に行使できるよう努めている。また、難民の帰還または第三国定住を支援することによって、UNHCRは、難民の窮状を恒久的に解決する道を探っている。

 

UNHCRの活動は、「UNHCR事務所規程」に定められており、1951年の「難民の地位に関する条約」と1967年の「難民の地位に関する議定書」を指針としている。国際難民法も、UNHCRの人道活動に関する諸原則の基本的枠組みとなっている。

 

UNHCR執行委員会と国連総会は、UNHCRが難民以外の集団にもかかわることを承認している。こうした集団には、無国籍者、国籍の存否が争われている者、場合により国内避難民が含まれる。

 

UNHCRは、避難が強いられる状況を減らすため、各国その他の機関に対し、人権の保護と紛争の平和的解決につながる環境の整備を働きかけている。また、同様の目的のため、帰還民の確実な自国再定着を積極的に推進し、難民を生み出す状況が繰り返されないよう努力している。

 

UNHCRは、難民をはじめとする人々の必要に基づき、その人種、宗教、政治的意見、性別にかかわらず、公平に保護と援助を提供する。UNHCRは活動全般において、子どもが何を必要としているかに特別な注意を払い、男女の権利平等を促進するよう努めている。

 

難民の保護と難民問題の解決をはかるうえで、UNHCRは各国政府、地方組織、国際機関、非政府組織と協力する。また、UNHCRは参加の原則に従い、難民の生命にかかわる決定に際しては難民自身と協議する。

 

難民と避難民のための活動を通じ、UNHCRは国連憲章の目的と諸原則も推進している。すなわち、世界の平和と安全を維持し、諸国間の友好関係を発展させ、人権と基本的自由の尊重を促進することである。

 

 

 

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