2] 独立企業体への移行
クィーンズランド州では、州の職員給与等のシステムを担当していたデータ処理チームを企業体として独立させ、政府機関における情報処理業務をアウトソーシングしている。この企業体であるサイテック社は、州政府だけでなく周辺の州政府や民間企業からも委託を受けている。その利益は税金として州政府に還元されており、その金額は年間200万〜600万豪ドルにも上っている。サイテック社の基本的なサービスはアウトソーシング受託であり、同州住宅局のアプリケーションも同社のコンピュータ上で稼働している。また、同社はオーストラリア全土を結ぶネットワークも運用しており、本ネットワークを介して州外の民間企業が州の有する情報(例えば土地関係のデータ等)を入手することが可能となっている。
以上のように、オーストラリアでは、情報システムのアウトソーシングや情報部門の独立企業化により、情報システム部門の徹底的なスリム化を図っている。これは、以下の点で、行政機関に大きな効果をもたらすことが期待される。
〇アウトソーシングによる柔軟性の確保
州職員が庁舎内で情報システムの管理運用を行う場合には、技術を持った職員の確保、ローテーション等の対応が必要となる。また、新たな情報システム導入やシステムのダウンサイジング等がスペースや人事により制約されることとなる。クィーンズランド州政府では、アウトソーシングによりこれらの制約を解消するとともに、関連部門の独立企業化により、アウトソーシングに伴う余剰職員についての対処も実現している。
〇アウトソーシング会社への委託によるコストダウン
アウトソーシングを受託する企業はサイテック社のように他の行政機関や民間企業からも受託を受けるため、スケールメリットによりアウトソーシングのサービスコストを下げることが可能となる。
日本の行政機関においてもアウトソーシングは徐々に進められているが、本事例のように、情報システム部門を独立企業化するような事例を見いだすことは難しい。