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初演:

“番兵の夜の歌”1892年12月12日、ベルリンにて、独唱アマーリエ・ヨアヒム、ラファエル・マシュコフスキー指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団。“少年鼓手”「亡き子をしのぶ歌」と同じ1905年1月29日、ウィーン楽友協会小ホールにて、独唱フリートリヒ・ヴァイデマン、マーラー指揮。“トランペットが美しくひびくところ”1900年1月14日、ウィーンにて、独唱ゼルマ・クルツ、マーラー指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。“死んだ鼓手”“少年鼓手"に同じ。“不幸のときのなぐさめ”1893年10月27日、ハンブルクにて、独唱クレメンティーネ・シュフ・プロスカ、パウル・ブルス、マーラー指揮ラウベ管弦楽団。

編成:

独唱、ピッコロ、フルート2、オーボエ2(イングリッシュホルン持替え1)、イングリッシュ・ホルン、小クラリネット、クラリネット2、バスクラリネット、ファゴット3、コントラファゴット、ホルン4、トランペット3、テューバ、ティンパニ、トライアングル、小太鼓、シンバル、大太鼓、タムタム、ハープ、弦5部。

 

B.A.ツィンマーマン: ヴォーカル・シンフォニー「軍人たち」

 

ドイツの作曲家ベルント・アロイス・ツィンマーマン(1918〜70)は、ケルン音楽大学、ボン大学などを経て、現代音楽の新たな拠点となったダルムシュタットの夏期講習でヴォルフガング・フォルトナーとルネ・レボヴィッツに学び、セリーや電子音楽など前衛的な作曲技法による作品を数多く残し、52才で自殺した。修道士のような面とディオニソス的な面とを合せ持つライン人と自らを語ったツィンマーマンは、独奏楽器のための作品に修道士的な面、つまり孤独と静寂が凝縮された音楽思想を表わし、きらびやかに鳴り響く管弦楽曲の機知や皮肉に富んだ表現に、ディオニソス的な面を示している。一方で彼はまた音楽の引用、すなわち前衛的な音楽でよく行なわれたコラージュの技法を重視し、音楽のさまざまな事象の同時性を示す時間概念と深く結びついた多元論的手法へと発展させた。

オペラ「軍人たち」は、ツィンマーマンが音楽の多元論を明確に表明した作品である。異なる高さの舞台で異なる場面が同時進行したり、映画をバックに声、楽器、電子音が鳴り響いたり、また、バッハやその他の作品からの引用も巧みに使われている。疾風怒濤運動の先駆者の一人、ヤーコブ・ミヒャエル・ラインホルト・レンツ(1751〜92)の台本による4幕もののオペラには、マリーという娘と彼女を取り巻く人々や軍人たちとの関わりと、捨てられたマリーが路頭に迷う悲惨な結末が描かれている。ベルクのオペラ「ヴォツェック」の影響を強く受けたというこの作品は、これまでに録音されたことはあるものの、オペラという概念をはるかに越えた巨大な編成、複雑な内容などにより、上演がきわめて困難とされている問題作である。

本日演奏するのは、オペラ「軍人たち」より、以下の部分を抜粋したヴォーカル・シンフォニー版であり、日本初演となる。

 

前奏曲

第1幕へのイントロドゥツィオーネ(導入)

第3場(Ricercari)

マリー、デポルト(フランス軍に勤める貴族)、ヴェーゼナー(マリーの父、装身具商)

ヴェーゼナー家の顧客であるデポルト男爵はマリーへの賛美を並べ立て、彼女を芝居に誘うが、父親は許可しない。士官と関係を持った市民の娘は悪い噂の種になるだけと、世間知らずの娘をたしなめるが、マリーは泣いて反抗する。

第5場(Nocturno)

マリー、ヴェーゼナー

マリーは父親にデポルトからの愛の詩を見せる。それを読んで最初はからかい気味だった父親は、娘がいつか貴族の妻になるかもしれないという思いにとらわれる。以前からマリーに恋心を抱いているシュトルツィウスに罪悪感を感じながら、デポルトの愛を信じて彼女は眠りにつく。

第2幕のインテルメッツォ

第2場(Capriccio, Corale e Ciacona)

マリー、デポルト、ヴェーゼナーの老母、シュトルツィウスの母、シュトルツィウス(生地商)

ヴェーゼナー家にデポルトがやって来ると、マリーがシュトルツィウスからの手紙を手に泣いている。彼とは婚約同然の仲だと話すマリーに、デポルトは自分が返事を書こうと言い、マリーは自分で書くと言い合ううち、二人は抱き合い戯れる。ヴェーゼナーの老母はやがてマリーにふりかかる不幸を予感している。

一方シュトルツィウスの家では、彼が手紙を読んで悲嘆にくれている。母親はマリーをののしるが、シュトルツィウスはマリーを弁護し、デポルトへの復讐を決意する。この場面では、ヴェーゼナーの老母が退場するまで、マリーとデポルト、ヴェーゼナーの老母、シュトルツィウスとその母の三つのグループが同時進行で演ずる。

 

作曲年代:

1958〜60年。改訂1963〜64年。

初演:

1965年。

編成:

きわめてドラマティックなコロラトゥーラ・ソプラノ(マリー)、きわめてドラマティックなアルト(シュトルツィウスの母)、低めのアルト(ヴェーゼナーの老母)、ハイ・テノール(デポルト)、若者らしいハイ・バリトン(シュトルツィウス)、フルート4(ピッコロ持替え、アルトフルート持替え1)、オーボエ3(イングリッシュ・ホルン持替え1)、クラリネット4(小クラリネット持替え1、バスクラリネット持替え1)、アルトサックス、ファゴット3(コントラファゴット持替え1)、ホルン5(バス・テューバ持替え1)、トランペット4(バストランペット持替え1)、卜ロンボーン4(コントラバストロンボーン持替え1)、コントラバステューバ、ティンパニ、合わせシンバル2、サスペンディド・シンバル3、ゴング3、タムタム2、タンブリン、小太鼓、サイドドラム、中太鼓、大太鼓(シンバル付)、トムトム5(異なる大きさの)、トライアングル、クロタル一対、テューブラー・ベル、カウベル3、ハンドカウル、マラカス、ギロ、グロッケンシュピール、シロフォン、マリンバ、ヴィブラフォン、ギター、ハープ、チェレスタ、チェンバロ、ピアノ、オルガン2、ヴァイオリンI14、ヴァイオリンII12、ヴィオラ10、チェロ10、コントラバス8、別に打楽器I: トライアングル、クロタル、シンバル、ゴング、木魚、サイドドラム、大太鼓(シンバル付)、ティンパニ3、打楽器II: トライアングル、クロタル、シンバル、ゴング、木魚、ティンパニ3、打楽器III: トライアングル、クロタ

 

 

 

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