解剖学実習を終えて
菊池 康子
緊張しながら、不安とそしていくらかの期待を胸に秘めて始まった解剖実習。それも、十二月二十五日をもって終了した。今、振り返ってみると、とても充実した二ヶ月半であったと思う。予習、復習、試問のくり返しではあったが、つらいと思ったことは一度もなかったし、逆に毎日少しづつ知識をつけていく自分を感じて、うれしく思ったりした。何よりも、ただの丸暗記ではなくて、自分達が剖出した実物と対比させながら学習していくことで、より深い理解ができたと思う。また、解剖の実習書や参考書には、いわゆる一般的な例が載っている訳だが、実際のご遺体には変異や破格が多く、予想以上に人体の複雑さを感じた。特に、私達の班のご遺体は女性であったが、子宮を包む腹膜が、臍につながっており、この方は妊娠できない体であっただろうと考えられ、体を開いてみなければ知り得ない破格という物が、少し恐ろしく思えた。この事実は、私達しか知り得ないということを考えるにつけても、このご遺体を解剖させていただく責任というものを強く感じた。
二十五日の解剖のテストは、これまでの講義と実習の総復習という形で臨んだ訳だが、思ったより、知識があいまいであったことを反省する結果となってしまった。