譚盾(作曲/指揮)
中国・湖南省長沙市郊外の絲茅衝(スーマオ)に生まれる。文化大革命時に農村に送られ、京劇劇団で編曲や演奏に携わる。19歳の頃に初めてベートーヴェンの第5交響曲を聴き、作曲家になることを決意。1978年北京中央音楽院作曲科に入学し、黎英海、趙行道の各氏に師事。また同音楽院に客員教授として訪れたA.ゲール、H.W.ヘンツェ、武満徹などの作曲家の指導を受ける。1986年米国コロンビア大学の奨学金を受けて渡米、M.ダヴィドフスキ、周文中などの各氏のもとで研鑽を積み、同大学修士課程を修了。現在ニューヨークに在住。
在中国時よりバルトーク国際作曲コンクール、ウェーバー作曲コンクールをはじめ、国内外のコンクールで数多くの賞を獲得。渡米後も世界各国の音楽祭や楽団に招かれ、その作品は広く演奏されている。また英国BBCスコティッシュ交響楽団のレジデント・コンポザー及び指揮者として招かれ“プロムス”などにも出演している。近年ではクロノス四重奏団により演奏・レコーディングされた《鬼戯(Ghost Opera)》、エディンバラ音楽祭の委嘱により作曲、1996年ミュンヘン・ビエンナーレ、オランダ芸術祭、1997年香港芸術祭などで上演された歌劇《マルコ・ポーロ(Marco Polo)》、1997年香港中国返還記念作品《交響曲1997“天・地・人”(Symphony 1997 “Heaven Earth Mankind”)》など世界的話題作を次々と発表している。
日本においては、1990年アジア音楽祭にて初期の傑作《オン・タオイズム(On Taoism)》を発表し注目を集めたほか、1993年のサントリー国際作曲委嘱シリーズで聴衆参加を含むオーケストラ作品《オーケストラル・シアター II:Re (Orchestral Theatre II:Re)》を初演するなど、その大胆かつ生気に満ちた作品が好評を博している。なお、今回の《マルコ・ポーロ》日本初演はコンサート形式による世界初の上演でもある。