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連絡事項4

 

調査研究事業について

 

本会では昭和59年以来、日本海事財団の補助金を受けて、「民間海難救助体制活性化に関する調査研究委員会」を設置し、本会事業に関する調査研究を行なっております。

委員長は海上保安大学校の広瀬肇教授(行政管理学講座)にお願いし、委員は16名で、プレジャーボート関係者から釣り、マリーナ、潜水、保険、漁業関係等の専門家にお願いしております。

この委員会は、発足以来、民間海難救助体制の活性化に関する種々の問題を検討してまいりましたが、平成8年度においては、「実費求償制度に関する報告書(まとめ)」として取り纏め、当会が実費求償を取り入れる場合の基本的考え方についての結論を得ております。現在、救難所が行なう救助活動はボランティアを基本としていますが、救助活動に要した実費程度は被救助者に請求してもよいとの結論に達しています。しかし、この制度を実際に取り入れることについては、なお検討中です。

この報告書は各救難所に配布しておりますので、必要な向きはこれを参照していただきたいと思います。

平成9年度からは、新たな課題として「救難所員に対する災害補償制度のありかた」について調査研究を実施しております。

これは、現在、本会が制度として運用している各種災害補償制度がボランティアで海難救助を実施する者の災害補償として、果たして妥当なものであるか否かについて調査研究することとしています。この調査研究は、3ヵ年計画で行なうこととしており、10年度は2年目にあたりますが、現在のところ、救助員自身が災害を被った場合の補償はほぼ完備されているものの、救助活動に伴い被救助者側の人命や船舶に損害を与え損害賠償を求められた場合、また、救助者の所有する船舶が損傷した場合の補償制度が当会にないことから、この点についての検討を進めています。

これまで、幸いなことに救難所の救助活動に伴い他人に損害を与え損害賠償を求められた事例は起きていませんし、また、救助船がほとんど漁船で漁船保険がかけられていたため、救助船に損傷を受けても特に問題となっておりませんでした。しかし、最近においては、ボランティアといえども、救助活動に過失があり、救助者側に傷害等を負わせた場合は損害賠償を求められることもあるようですし、また、プレジャーボートの救助船も増加してきており、無保険船が救助活動に伴い損傷することも考えられますので、この際、是非この種補償制度を確立する必要があると考えているところです。予算の関係もありますが、導入可能な制度を今後検討してゆくこととしております。

 

 

 

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