全国の海難及び人身事故の発生と救助の状況
海上保安庁発表
海上保安庁は、平成10年における全国の海難及び救助の状況について、平成11年2月に発表しましたので、その概要を紹介します。
1 船舶海難の状況
平成11年に救助を必要とする海難に遭遇した船舶(以下「要救助船舶」という。)は、1,726隻で、前年に比べると48隻増加したが、過去10年間の傾向では平成3年をピークに平成4年以降振幅を示しながら漸減傾向にある。
要救助船舶1,726隻を用途別に昨年と比較すると次表の通りである。
この表によると、平成10年はプレジャーボート等が59隻増加し、漁船が26隻増加しており、貨物船、タンカー及び旅客船は減少している。
プレジャーボート等が増加したのは、第9管区海上保安本部管内で発生した低気圧によりプレジャーボートの流出に係る海難(40隻)の影響が大きい。また、漁船が増加したのは、前記低気圧による海難(17隻)のほか機関故障海難の増加(18隻)の影響が大きい。
海難の原因は、見張り不十分や船位不確認などの運航の過誤及び機関取扱不良などを含めた「人為的要因」によるものが7割以上を占めている。
これらの海難に伴う死亡行方不明者数は157人で前年より13人減少している。
2 人身事故の状況
(1) 船舶海難によらない乗船者の事故(海中転落、負傷、病気等)は766人で119人減少し過去10年間で最小であった。この内死亡、行方不明者は311人で、過去10年間で最小となった。
(2) 海洋レジャーに伴う海浜事故等の事故者は741人で前年に比し54人減少した。このうち死亡行方不明は323人で前年に比し6人減少している。
(3) 海洋レジャー事故を除くその他の海浜事故等の事故者は991人で前年に比し、106人増加し過去10年で最多となった。このうち死亡、行方不明者は807人で前年に比し93人増加し、過去10年で最多となった。この内自殺が626人で106人も増加し、平成7年から増加の一途をたどっている。
3 救助の状況
要海難救助船舶1,726隻のうち、208隻の自力救助を除いた1,518隻のうち1,271隻が救助されており、救助率は83.7%で、過去10年間の最高救助率であった。