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講演テーマ:我々脊椎動物は4倍体であろうか8倍体であろうか
演者: Susumu Ohno博士(アメリカ合衆国ベックマン研究所)
海綿体やクラゲなどのような二倍体の動物はごく短いEdiacaran episodeのやつ早い時期に出現したのに対して、実在するほぼすべての三倍性動物は600万年から1000万年前の間にほとんど同時に出現している。同時期に出現したということは、すべてのカンブリア紀の動物が同種のゲノムを持っていることを意味する。原索動物門に属する全ての無脊椎動物から有顎脊椎動物が分離されてきたのは連続的な二回の四倍体化現象によるものである。この現象により、有顎脊椎動物は5億4000万年から3億3000万年前の発生時以来、このゲノムにあるタンパクをコードする遺伝子座位が効果的に四倍化してきたものである。多様な生物体を対象としたゲノム研究の進展のおかげで、この説に対して数多くの支持する結果が寄せられてきた。ゲノム中めタンパクをコードする遺伝子数に関して述べてみると、例えばショウジョウバエ、線虫、および尾索動物などあ無脊椎動物のゲノムには15,000前後の遺伝手が存在する。それに対して、有顎脊椎動物からヒトに至るまで、では約70,000の遺伝子がある。つまり、無脊椎動物のほぼ4倍である。それぞれの遺伝子について述べると、無脊椎動物ゲノムには互いに連鎖していない4個の遺伝子が常に存在している。これらの知見を総合すると、有顎脊椎動物においては、その発生後の進化のプロセスにおいてゲノムの四倍化に負うところが大きかったことは明白である。
講演テーマ:染色体が語る植物の多様性
演者: Michael D. Bennett教授(連合王国キュー王立植物園ジョドレル研究所長)
染色体は過去と未来を結びつけ、今日の生命と生物の多様性を定義する。核を発見したことや、DNAが遺伝の分子基盤であると証明したことを含め、細胞学や遺伝学の歴史において、植物は特筆すべき特色を持っている。現在我々は、細胞遺伝学の黄金時代に生きているが、植物の生物多様性については暗黒時代に生きている。研究者や管理者が、生物多様性について、どのくらい知っているかを評価することは重要であり、何を知らないかを認識すること。は必須である。染色体数(2n)は、70%の種で未だ不明であり、核DNAのC値については98%の種でわかっていない。また、倍数性レベルや核型についての信頼性の高い情報は、ほとんどの種で知られていない。限りある資源を我々は評価し、どめ基礎的情報が最も緊急に必要なのかといった優先順位を決めなければならない。また、我々の進歩を大きく規制する要因を確認し、重要な問題が、最善に解決される策を判断しなければならない。1980年代、染色体はFISH法の開発により、種の起源の解明を可能にし、ゲノム間の染色体の再編成のような、今までに知られてなっかった多くの詳細を明らかにした。GlSH法の開発は、ほとんどの動物では稀な異質倍数性や、広交配現象の発生率が高い顕花植物において特に有効である。植物の染色体多様性の保全と理解の進捗のために、ますます集中的な国際共同研究が必要とされるであろう。