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6 内容等

1. 水道水は大丈夫?下痢を起こす原虫類

東京都立衛生研究所 保坂 三継

日本の水道水は世界でも類を見ないほど衛生的に高い水準にあり、微生物学的にも極めて安全であるといわれてきました。しかし、平成7年に埼玉県越生町で原虫クリプトスポリジウムによる水道水汚染を原因とした集団下痢症が発生したことを契機に、水道水の安全性に対する新たな脅威として原虫類が注目されています。本講演では、水道水の公衆衛生上の役割と水の安全性を確保する仕組み、水道水の新たな脅威として出現した原虫とはどのようなものか、なぜ水道水が汚染されるのか、どのような対策がとられているのか、そして水道水の微生物学的安全性を今後どのように考えていったらよいのかなどを紹介します。

2. 我々の子孫を脅かす環境ホルモンてなんだ

東京理科大学薬学部 武田 健

新聞やテレビで環境ホルモンに関する話題が頻繁に取り上げられており、この問題に関しマスコミの報道は些か過熱気味です。野生生物の生殖異変、人の精子数の減少などについて、新聞の見出しや啓蒙書のタイトルを見ていると、人類の存続は危ういのではないかと思えてしまいます。環境ホルモンは本当に危険な物質なのでしょうか。本フォーラムではいわゆる環境ホルモン(内分泌撹乱物質)とは何か。何故危ないのか。何にどれぐらい含まれているのか。現在までに分かっていることと分かっていないことを整理し、より安全な日常生活がおくれるよう、この問題について共に考えてみたいと思います。

3. 食物の油の質はヒトの性格を変える?

富山医科薬科大学和漢薬研究所 浜崎 智仁

魚の油にはDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)と呼ばれる脂肪酸が含まれています。これらの油は健康にとって非常に重要で、しかも、魚以外にはほとんど含まれていません。そこで、魚を毎日食べる人と、全く食べない人では寿命で5年もの差があります。最近では、DHAに抗ストレス作用があることがわかってきました。魚をあまり食べない学生さんでは、ストレス時に攻撃性(種々の病気の発生にも関係がある)が上昇し、DHAを十分にとっていれば、攻撃性が安定することが判明しました。この作用は最近の若者のキレにも関係があると思われます。

 

 

 

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