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(2) 治安情勢

イ マフィア

現在の治安上の脅威は、マフィア等の組織犯罪及び薬物乱用の蔓延であり、特に前者は南部で社会問題化し、政府の重要課題の一つである。マフィア等は南部4州(シチリア、カンパーニャ、カラーブリア、プーリア)に本拠を構え、強盗、恐喝、麻薬取り引き、企業からの上納金、公共事業の支配等により莫大な利益を上げ、マネーロンダリング(資金洗浄)を通じて一般市場に投資して利益を拡大してきた。また、政界、司法界にも深く潜入しているとされてきた。

しかし、近年は政府のマフィア対策が非常に強化され、捜査は政界有力者や裁判官にも及び、多くのマフィア大幹部が逮捕される等、大きな効果が現れている。

 

ロ テロ

「赤いテロ」は、78年に極左テロ集団「赤い旅団」がモーロ元首相を誘拐・殺害した時期がピークであったが、その後、テロ対策特別法の導入、当局の取締り、「赤い旅団」の分裂等により終息に向かい、現在は若干の事件を除き、極左テロはほぼ沈静化している。

 

(3) 対外関係

イ 基本政策

欧州統合の積極的推進及び対米関係重視を基本政策とし、また、G7の一員として国際的な発言の強化に腐心している。地理的、歴史的関係のみならず、政治・安全保障、経済、社会的観点も含め、中東欧及び地中海沿岸地域も重視している。

 

ロ 最近の動向

近年は不安定な内政状況を反映して外交は停滞気味であるが、93年11月から1年間 CSCE(現OSCE)議長国、94年はG7サミット議長国として活躍した。また、モザンビーク及びソマリア和平に貢献し、隣国のボスニア紛争の解決にも発言力を行使しようと努力している。国連改革についても積極的に発言し、安全保障理事会の改組については、常任理事国の増加に反対し、輪番制の非常任理事国の追加を主張している。

 

(4) 我が国との関係

イ イタリアを含めた西欧に対し、初めて日本を紹介したのは、ベネチア商人マルコ・ポーロ(1254〜1324)が著した「東方見聞録」である。その後、1584年(または85年)に天正少年遣欧使節団が訪伊したが、日伊両国の交流が本格化したのは幕末・明治の開国以降であった。

1866年に日伊修好通商条約が締結され、文明開化の頃、日本はイタリアから蚕糸業、印刷技術、司法、軍事工学、美術等を学んだ。

戦前の日独伊三国同盟、戦後の困難な時代を経て、日伊両国とも経済的繁栄を遂げ、今日では国際社会に重要な地位を占めるに至っている。

 

ロ 従来から日伊貿易は、両国の経済力に照らして規模が小さかったが、近年は急速に増加し、91〜92年は日本経済の不況や世界貿易の落ち込みにより一時縮小したものの、その後はリラ安等により再び急増している。また、日本側が入超であることも大きな特徴になっている。

96年の対日輸出は、バッグ、トランク、衣料品、貴金属、乗用車等7,354億6,200万円、対日輸入は乗用車、テレビカメラ、オートバイ、コンピュータなど3,683億3,400万円と日本に対する輸出は好調。

 

 

 

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