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(イ) 領海からの追跡

1] 韓国船第25新亜号事件(東京簡判昭和55・6・7)2

(違反行為地─領海内、継続追跡地─領海〜公海、逮捕地─公海上)

韓国船第25新亜号の船長が、強制執行を免れる目的で、同船を指定停泊場所である東京港から出港させ、韓国に向け逃走を図った事件につき、巡視艇が関門海峡通過中の同船を発見、刑法第96条の2の強制執行妨害罪容疑で逮捕するため停船命令を発したが、同船がそれに応えず航走を続けたため、巡視艇が停船命令を継続しつつ追跡を開始し、途中から来援にかけつけた巡視船に追跡が引き継がれたが、同巡視船による停船信号にもかかわらず、なお第25新亜号は航走を続けて領海を出、公海上にて同船船長が強制執行妨害容疑の準現行犯で逮捕され、有罪とされた事例。

2] 台湾漁船振昇発事件(石垣簡判昭和59・7・2)3

(違反行為地─領海内、継続追跡地─領海〜公海、逮捕地─領海内)

日本の領海内で違法操業中の台湾漁船振昇発を当該海域哨戒中のヘリコプターが発見、停船命令を発しつつ同船を追跡し、その通報を受けた巡視艇が追跡を引継ぎ、公海上にて同船が停船に応じたため、海上保安官が同船に移乗し、領海内の同船内において同船船長が外国人漁業の規制に関する法律(以下「外規法」と略す。)第3条第1項、第9条第1項第1号の領海侵犯操業の罪を犯した事実を認めたため、同人を緊急逮捕し、有罪とされた事例。

2 海上保安事件研究会編『海上保安事件の研究(国際捜査編)』(1992)105頁以下参照。

3 前掲書(注2)107頁以下参照。

 

 

 

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