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「1 手続を開始する国の領海を越える水域における外国船舶による船舶からの汚染の防止、軽減および規制に関する適用のある当該国の法令または国際的な規則および規準に対する違反について罰を科するための手続は、最初の手続の開始の日から六ヶ月以内に旗国が同一の犯罪事実について罰を科すための手続をとる場合には、停止する。ただし、その手続が沿岸国に対する著しい損害に係る事件に関するものである場合または当該旗国が自国の船舶による違反について適用のある国際的な規則および基準を有効に執行する義務を履行しないことが繰り返されている場合は、この限りでない。この条の規定に基づいて当該旗国が手続の停止を要請した場合には、当該旗国は、適当な時期に、当該事件の一件書類および手続の記録を先に手続を開始した国の利用に供する。当該旗国が開始した手続が完了した場合には、停止されていた手続は、終了する。当該手続に関して負担した費用の支払いを受けた後、沿岸国は、当該手続に関して支払われた保証金または提供された他の金銭上の保証を返還する。

2 違反が生じた日から三年が経過した後は、外国船舶に罰を科するための手続を開始してはならない。いずれの国も、他の国が、1の規定に従うことを条件として、手続を開始している場合には、外国船舶に罰を科するための手続をとってはならない。

3 この条の規定は、他の国による手続のいかんを問わず、旗国が自国の法律に従って措置(罰を科するための手続を含む。)をとる権利を害するものではない。」

(3) この規定の、第2項の制限がわが国に生じることはあまり考えられないが、第1項の手続の停止については、十分発生の余地がある。そして現実に、実施から丸2年を経ないうち1998年に、韓国との間で、最初の事例の発生を見た。

そこで、この制限の持つ国内法上の意味と問題を検討し、それを通して、国連海洋法条約が排他的経済水域における海洋環境の保護に関して沿岸国に管轄権を認めたことの意味を、あわせて探ってみることとする。

 

 

 

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