はじめに
近年、地球環境問題がクローズアップされる中、地球の4分の3を占める海洋に対する環境保全への取り組みは、世界的にも大きな問題として注目を浴びるようになってきました。
我が国においても海洋環境問題は幅広く取り上げられるようになり、国民の問題意識も深まってきています。特に船舶からの油等による汚染は、昭和45年に海洋汚染防止法が制定されたことなどにより徐々に改善されてきておりますが、その反面、家庭からの生活雑排水や海洋レジャー愛好者による心ない廃棄物の投棄により引き起こされる海洋汚染がクローズアップされるようになってきました。
しかしながら、これらの対象者については必ずしも実生活と海とが結びついているものではないことから、海洋汚染に対する意識が低いことは否定できないものと思います。
平成8年4月、海洋環境保全推進活動が従来の監視･通報活動から、ボランティアのみなさまを中心とした活動に衣替えし、環境ボランティア団体や企業、地方公共団体との連携による活動などを通じて、地道な中にも着実に活動の輪を拡げて海洋環境の保全を図り、美しい海、美しい地球を未来に残すことを目的として推進してきました。
推進員のみなさまには、日頃から率先して海洋環境保全活動に取り組んでいただいておりますが、今回、この二年間の経験をもとに、手引きの改訂版を作成いたしました。この手引きが、みなさまの今後の活動の参考になっていただけるようになれば幸いであると願うところであります。
平成10年10月
財団法人 海上保安協会会長
