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荷主および物流業者は混雑とコスト高を避けて当該陸上輸送路の代りに珠江デルタ地帯を航行する小型の内河船を利用するようになっている。

これら海上荷役と内河船輸送はクワイチュン・コンテナ・ターミナルのバッファーとして機能しているとともに比較的コストの高い同コンテナ・ターミナルの代替的な荷役・輸送方法でもある。

 

4) 香港港のコンテナ貨物取扱状況

ここで香港港のコンテナ貨物取扱い状況を取扱い場所・方法ごとに見てみると図表II-2-3になる。ここにあるように、香港港のコンテナ貨物取扱量は年々増加しており、1997年では145万TEUを超えている。言うまでもなく、香港港は毎年シンガポール港と世界最大のコンテナ貨物取扱量を競い合っている世界のトップ・ポートである。

 

図表II-2-3 香港港のコンテナ貨物取扱い動向(1000TEU)

173-1.gif

出所:Hong Kong Port Development Board Hong Kong Port Cargo Forecasts 1997/98

 

ただしコンテナ貨物の取扱い場所は、相対的に変化しつつあり、主力のクワイチュン・コンテナ・ターミナルでの取扱いは、絶対量では増加しているが、相対的には90年代以降低下・横ばい状態である。またその他のコンテナ・ターミナルや香港に特徴的な海上荷役も90年代初頭に急激に取扱量を増加させた後、鈍化傾向にある。これらクワイチュン・コンテナ・ターミナルやその他のコンテナ・ターミナルあるいは海上荷役に代わって、近年、クワイチュン・ターミナルに寄港しない内河船でのコンテナ貨物取扱いが増加しつつある。

 

(3) 香港港の官民融合的管理組織

─香港港口及航運局(Hong Kong Port and Maritime Board=PMB)の役割

香港港の管理・運営に関しては上記の民間コンテナ・ターミナル・オペレーターと公的機関であるMDの間で、利益をあげられる部門と利益をあげにくい部門という形で分業が存在するだけではない。香港には港湾開発の基本方針を決める組織が別に存在する。それがPMBである。

PMBは1998年6月1日に港湾開発局(Port Development Board=PDB)を改組して設立された機関である。

 

 

 

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