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したがって香港返還後も現在の民間コンテナ・ターミナルは返還以前と同じ条件で借受が継続されており、2047年までに借受期限50年がくるターミナルについては形式的には特別行政区政府に管理・使用権を返すことになる。

また民間コンテナ・ターミナル・オペレーターは50年という期限の中でこれら巨額の固定費を回収しなければならない。そのため各民間コンテナ・ターミナル・オペレーターは効率的な集荷と迅速な貨物取扱いを要求されることになる。この点が、わずか4社という一種の寡占体制にありながら、香港港において民間コンテナ・ターミナル・オペレーター間で競争原理が働く1つの要因になっている。

図表II-2-2はターミナルごとの借り受けオペレーターを示したものである。

 

図表II-2-2 コンテナ・ターミナルの整備概要

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出所:沖縄県香港事務所資料

 

3) コンテナ・ターミナル以外の荷役方法

1] 海上荷役(Mid Stream)

海上荷役とは、香港におけるコンテナ貨物取扱いに特徴的な荷役方法で、陸上のコンテナ・ターミナルを利用せずに、港湾内ブイに係留するか錨泊地で、クレーンを備えたコンテナ艀(30〜100TEU積載)によってコンテナ貨物の船積み・船卸しが行われる。コンテナ艀に積み込まれたコンテナは、その多くが民間のコンテナ基地に運ばれている。海上荷役の作業能力は1時間当たり15TEU前後と、陸上のコンテナ・ターミナルにおける荷役作業能力(通常、ガントリー・クレーン2基で1時間当たり30〜40TEUと言われている)と比べると半分程度であるが、荷役料金が同様にコンテナ・ターミナルと比べて半分以下であるため、スピードよりもコストを重視するコンテナ貨物の荷役作業には優位性を持っている。

2] 内河船輸送(River Trade Vessel)

内河船とは珠江デルタ地帯を中心に、広東省南部から香港島にかけて錯綜する内陸河川を航行するコンテナ貨物用小型内航バージのことである。図表にもあるように、90年代半ば以降、内河船を利用したコンテナ取扱いは量・率はともに増加・上昇している。その背景には後述する広東省の工業化にともなう広東省─香港間の陸上輸送路の混雑と高コスト化がある。

 

 

 

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