オンドックシステムを採用できれば、そのための交錯輸送とマーシャリングがなくなり、オフドックコンテナヤードを確保し維持する必要がなくなる。
釜山港がシンガポール並みのコスト引き下げと時間の確実性を確保するためには、オンドックシステムへの移行が必須であり、1998年の戡湾ターミナルの供用開始後、各船社が順次オンドックシステムに移行しているところである。当然ながら、船社はオンドック化を強く望んでいる。このようなニーズを受けて大韓通運(KEC)などの大手物流業者は、ターミナルのスクラップアンドビルドとオンドック化自体をビジネスとして投資を行ってきた。
オンドックとオフドックの2システムの併存問題に関しては、インタビュー調査で以下のコメントをえた。
・ ダブルハンドリングによるロスを考慮しても、コストだけをみると港湾労組対策費のかかるオンドックシステムの方が高くつくことは間違いない。問題は両システムの間のコスト差が企業によって異なることである(KMI)。
・ オンドック化に問題があるとすれば、オフドックでは民間ベースで行ってきた(ヤードやCFSの)運営に、オンドック移行後は公がからむようになることである(域内船社)。
・ オンドックシステムの増加は港湾労組の支配力に影響する(KMI)。
・ (荷主にとっての)保管サービスという面では、オフドックシステムにも存在意義があるのではないか(MOMAF)。
(2) 梁山(ヤンサン)コンテナ基地の建設
オフドックコンテナヤードを利用しなくてはならない情況のなかでも、関係したコンテナヤードと関連道路の混雑を緩和するために、MOMAFはオフドックコンテナヤードを釜山都心の北20kmの梁山(ヤンサン)に集中させる政策をとり、1991年に通関機能をもつヤンサン・インランド・コンテナ・デポ(ICD)の建設に着手した。完成は1999年に予定され、年間コンテナ処理能力は100万TEUとなる。同基地はコンテナヤード、CFS、シャシ置場などの諸施設からなり、総面積80,767平方mである。ここに高麗総合運輸(KMTC)ほか19社の民間オフドックオペレーターとKCTAが参加することになっている。
当該ICDは10区画に分割され、1区画をKCTAが、残り9区画を民間が運営する。総投資額は2,420億ウォンであるが、うち民間セクター負担は1,600億ウォンとなる。KCTAが直営で運営に参加するかスペースの賃貸のみにとどまるかはまだ決定していないとのことであるが、梁山はKCTAが所有し、場合によっては運営に参加する最初のインランド・コンテナ・デポとなる。なお梁山ICDの計画自体は、ソウルで1994年から供用している富谷ICDにならったものである。