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港務局の組織は、管理課、建設課、港務課に分かれている。このうち、港務課が会計を管理している部門であり、本港地区を管理していた住友の組織をそのまま引き継いでいる。港務課の職員2名の給与は、旧管理者が年度始めに港務局に一括して支払っている。

 

4) 非営利目的の業務

港務局は営利を目的としない、自治権を持つ法人である。港湾法第十二条第八号では、港務局は「船舶に対する給水、離着岸の補助、船舶の廃油の処理その他船舶に対する役務が、他の者によって適当且つ十分に提供されない場合において、これらの業務を提供すること」をその業務としている。さらに、港湾法第十三条2]において「港務局は、港運運送業、倉庫業その他輸送及び保管に関する私企業の公正な活動を妨げ、その活動に干渉し、又はこれらの者と競争して事業を営んではならない」と規定されている。つまり、港務局は営利を生まないような付帯的な港湾サービスを専門に供給する組織である。

 

5) 独立採算制の原則

港湾法第二十八条において、港務局への出資者は関係地方公共団体に限るとしている。また、第二十九条では「港務局がその業務を行うために要する経費は、その管理する港湾施設等の使用料及び賃貸料並びにその港務局の提供する給水等の役務の料金その他の港湾料金の管理運営に伴う収入をもって、まかなわなければならない」として独立採算を規定している。さらに、港務局は決算において余剰金を生じた場合には、負債償還準備金、資産償還準備金を積み立てねばならない。欠損が生じた場合には、これら準備金で補填し、なお不足金があるときは地方公共団体が欠損を補填することが港湾法第三十一条に定められている。

新居浜港の場合は、定款第24条に経費のまかない方と不足金の処理の方法を、第28条に余剰金を生じた場合の処置を定めている。港務局は、営利を目的としない独立した法人という意味では、財政法第二条に定める公営企業会計企業に該当する。しかし、独立した法人として特別会計を設けるものの、地方公営企業会計方式で決算を行うわけではない。もちろん定款を作成する時点で、地方公営企業会計方式で決算することを定めることはできたが、そうしていない。定款第24条は現金主義の会計を意味するものと解釈され、官庁会計方式がとられている。

 

6) 財産管理の状況

市来(1996)は、日本の港務局は財産を所有していない場合が多く、財産管理のみを行っているという点で欧米のポートオーソリティとは大きく異なることを指摘している。

新居浜港務局の場合も、定款第23条に定めるように、新居浜市が従来管理していた港湾施設、および本港地区に集中している旧管理者が管理していた外郭施設、水域施設等の港湾施設を無償で借り受けている。

 

 

 

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