これは、公有水面埋め立て法に基づく措置で、公共目的の場合は埋め立て権の取得に対価は必要とされない。
(4) 建設費の費用負担の変遷
外貿埠頭の建設または改良に必要な費用の資金調達方法は、承継により定められている。以下のとおり、港湾施設によって、国、港湾管理者、埠頭公社、および専用埠頭の仮受者の間で費用負担割合が決まっている。
1] 岸壁延長300メートル、水深13メートル、敷地面積10万5千平方メートルの埠頭を整備する場合:
・ 国の港湾整備特別会計の港湾整備勘定からの無利子貸付金 10%
・ 港湾管理者からの無利子貸付金 10%
・ 特別転貸債(資金運用部引受)により調達した資金による港湾管理者からの貸付金 40%
・ 埠頭借受者からの貸付金 40%
2] 岸壁延長330メートル、水深14メートル、敷地面積11万5千5百平方メートルの埠頭を整備する場合:
・ 国の港湾整備特別会計の港湾整備勘定からの無利子貸付金 20%
・ 港湾管理者からの無利子貸付金 20%
・ 特別転貸債(資金運用部引受)により調達した資金による港湾管理者からの貸付金 30%
・ 埠頭借受者からの貸付金 30%
3] 水深15メートル以上の埠頭を整備する場合:
・ 国の港湾整備特別会計の港湾整備勘定からの無利子貸付金 30%
・ 港湾管理者からの無利子貸付金 30%
・ 特別転貸債(資金運用部引受)により調達した資金による港湾管理者からの貸付金 20%
・ 埠頭借受者からの貸付金 20%
上記の3]水深15メートル以上の埠頭を整備する場合が、新方式と呼ばれる方法である。これは運輸大臣の諮問を受け、平成10年3月20日付けの港湾審議会答申に盛り込まれた。新方式は、基幹航路が集中しているためにコンテナ扱い貨物量が多く、かつ埠頭公社が存在している東京湾、名古屋湾、大阪湾において建設される大水深・高規格コンテナターミナルに適用される。新方式では、これまで公社が依拠してきた継承法と港湾法の枠組みのなかで、国の費用負担を増やし、借受者の負担をより軽くするようになっている。
まだ、新方式で整備された大水深バースが供用されていないため、建設後の管理運営方法について明確な方針は示されていない。現時点では、国からの補助金(および自治体の財政的な裏負担)により岸壁の建設が行われるため、バースは公共利用されるのではないかと推測されている。