日本財団 図書館


上記のことから、日本のコンテナ港湾の競争力について序列をつけるならば、以下のようになろう。第1に、1]地元コスト重視型貨物の集荷に対しては全てのコンテナ港湾が競争力を保持している。第2に、2]地元サービス重視型貨物の集荷が、1]の貨物に次いで当該コンテナ港湾が競争力を持ち得る可能性の高い貨物である。第3に、3]国内遠隔地のサービス重型貨物であるが、この貨物については2]の貨物の集荷を行っているコンテナ港湾は集荷が可能である。第4に、4]国内遠隔地のコスト重視型貨物については集荷がきわめて困難である。5]東アジア域内のサービス重視型貨物については、当該コンテナ港湾における港湾物流サービスの質的集積度によっては集荷が可能であり、場合によっては4]の貨物よりも集荷の可能性が高いことも想定されえる。5]東アジア域内のコスト重視型貨物についてはほとんど集荷は困難である。

 

(3) 日本の五大港と地方港が集荷すべきコンテナ貨物類型

1) 五大港

五大港は上記コンテナ貨物類型の中で、タイプ1]、2]、3]を優先的に集荷のターゲットとすべきである。その上でタイプ5]の貨物の集荷を試みるという順番になろう。なぜならば、タイプ4]、6]の貨物は地元港湾で取り扱われるものであり、日本の五大港はこれらのタイプのコンテナ貨物の集荷に関してほとんど競争力を持たないからである。そして五大港の最大の集荷競争力はタイプ3]の貨物の集荷に現れるため、とりわけタイプ3]の貨物の集荷競争力の維持・強化が重要となる。具体的には現在五大港が持っている港頭地区におけるコンテナ貨物の荷役、バンニング、デバンニング、混載、梱包等の作業水準の高さを維持・強化すべきである。

またタイプ5]の貨物の集荷については、タイプ3]の貨物の集荷競争力強化の延長線上で、五大港において多国籍混載を行う仕組みを作ることによって可能とされる。タイプ3]の貨物とタイプ5]の貨物を5大港で再混載する業務を定着させるのである。多国籍混載が五大港で行われるようになるならば、五大港のタイプ3]の集荷競争力はますます強化されることになる。

 

2) 地方港

地方港はタイプ1]の貨物をすでに集荷しているため、地域産業の振興という視点から見るならば、タイプ2]の貨物の集荷を今後、積極的に行っていくべきである。その方法として、他の東アジア主要港を積替拠点とする多国籍混載の活用が考えられる。すなわち、日本の地方港発着LCL貨物をいったん東アジア主要港まで輸送した上で、当該東アジア主要港で再混載し、仕向地に送るというものである。

実際に98年12月から韓国船社が2社、釜山あるいは香港・シンガポールでの日本地方港発LCL貨物の多国籍混載を行っている。このうち高麗海運が行っている多国籍混載の仕組みの概要を図にするならば以下のようになる(図表I-4-13)。

 

図表I-4-13 東アジア主要港における地方発LCL貨物の混載システム(高麗海運のケース)

103-1.gif

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION