日本財団 図書館


その他の輸送機関に対する事業規制も急速に緩和された。長距離輸送で重要な役割を果たす鉄道輸送に対する経済的規制は、1980年スタッガーズ法によって緩和された。広大な国土で迅速な輸送を行う航空貨物輸送に対する規制は、1977年の連邦航空法改正によって緩和され、その翌年には旅客輸送も含めた航空規制緩和法によって大幅に自由化された。海運についても、1984年連邦海事法によって部分的に緩和されている。

TPLを行おうとする事業者は、このように実運送事業を含めてあらゆる運送事業を自由に提供できる環境が整っている。ロジスティクスのアウトソーシング・ニーズが高まった1990年代に入ると、TPLに取り組む事業者は急増した。

 

2) サードパーティ・ロジスティクス(TPL)の市場規模

現在、TPLサービスを提供する事業者は約1,000社ほどあるとされる。しかし、そのなかには既存の物流事業者がTPLに取り組み始めたばかりのものや、ブームに便乗しただけのものも含まれており、TPLと呼ぶにふさわしい事業者はそれほど多くないともいわれている。

アームストロング&アソシエイツ社のTPLに対する調査によれば、現在の市場規模は約340億ドルであり、全物流市場の4%を占めているという。上位56社でTPL市場売上高の約2/3を占め、大手に比較的集中している。上位40社の出身母体は、トラック16社、倉庫11社が多く、資産を保有する企業が上位を占めている。しかし、組合員を雇用した場合の硬直性を避けノンユニオン化するためもあり、出資母体から分社化して自由な営業展開を行う場合が多い。

 

3) サードパーティ・ロジスティクス(TPL)の形態

TPLサービスの入札方法は、公開入札、セールスによる場合等がある。公開入札の場合は、荷主企業の情報開示に基づき、TPL事業者がプロポーザルを提出してコンペを行う場合が多い。

契約形態については、輸送機材・倉庫施設のリースが含まれる場合は、リース期間を考慮して3年以上となる場合が多い。契約方式は、実費に手数料を加える場合が多く、その他立替払いを行わない手数料のみの方式、取扱単価によるトランザクション方式、コスト削減目標(ベンチマーク)を定める方式、ゲインシェアリング方式等がある。

ゲインシェアリング方式は、コスト削減目標を設定したうえで、それ以上効率が上がった場合には荷主とTPL事業が成果を配分し、目標を達成できなかった場合にはペナルティを課す方式である。TPLの効率をあげるインセンティブが働く方法とされるが、目標設定が困難なことから、実際にはあまり採用されていない。ゲインシェアリングのリスクの大きさは、ライダー社とオフィス・マックス社の契約破棄訴訟によって示された。両者は1995年に7年間のTPL契約を結んだが、改善実績と成果配分をめぐって契約が中断し、両社が互いに訴訟を起こしている。

荷主のTPLの利用形態は、中小企業の場合は全面委託の場合もあるが、大手荷主では一般にまれである。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION