運航の手引き
第4章 スキューバダイビング
1. 潜水(ダイビング)の種類と特徴
潜水には、(A)素もぐり(スキンダイビング)、(B)シュノーケルダイビング(素もぐりと殆ど同じ。)、(C)スキューバダイビング、(D)ヘルメットダイビングなどがあるが、スポーツとして行われているのは(A)、(B)と(C)でしょう。
(A)素もぐりは、水泳をやったものなら殆んど全部の人が経験した事があるでしょう。そして、それが1メートルか2メートルの深さのもぐりであっても、水面を泳いだ時と大変ちがったのものであった事を覚えているでしょう。
第1に息の問題があります。素もぐりではもぐっている間息を止めなければなりません。もぐりを稼業としている海女などは3分は止めていられますが、普通の人では大よそ1分ぐらいしか息を止めていることは出来ません。その間に海面に出てこられなければ一大事です。海女などでも、浮き上がろうとした時、獲物を見つけてがんばったために水面まで息がもたずに、水を吸い込んで死ぬという事も時にはあるのです。
次には、耳とか鼻に水が入ってからだに異常をおこす事です。浅いもぐりなら水から出て頭をゆすったりして水を出すことができますが、10メートルを越すもぐりだと、用意が悪いと鼓膜に穴があいたりして面倒なことになることがあります。
第3は、海中における水流、水圧の問題です。岩場などをもぐっていると、海草などが大風に吹かれた柳のように、右に左に大きくゆれています。これは、海面に起っている波や、海底を流れている水流のせいですが、海水の密度は空気よりはるかに大きいので、その運動量も非常に大きく、人間などは簡単に岩のくぼみ等に押しつけられてしまいます。こんな時に落ち着いていないと、息との関係であぶなくなる事があります。
第4は、岩などに附着している海草や生物のたぐいの人体への影響です。刺すものがいます。大した事にはなりませんが、ものによると2〜3日はかゆみが取れない事があります。
(B)シュノーケルは水面にうつ伏せに浮かんで海中を見る時の呼吸補助器です。もぐりについては(A)と変りません。