測定した3項目については、いずれの項目においても時期や採集場所による違いや活性の変動などが認められたが、試料の処理や測定方法の点で時間や手間のかかるものもあり、実験期間を通して4つの調査地点から得られた個体すべてについて測定できない場合があった。特に、血球の酵素活性については、細胞化学的な手法を応用してペルオキシダーゼ活性の検出を感度よく行うことができるようになったが、数値化するためのパラメーターの確立に手間取り、季節的な変動や調査対象地点間での違いを追跡するには至らなかった。従って、今回は、「血球の貪食能」について詳述し、化学発光法の導入によって検出感度を約10倍上昇させることができた「血球の活性酸素生成能」についても若干述べる。
1) 血リンパの採取および血球試料の調製
血リンパはフランスガキ閉殻筋の血竇部(blood sinus)から23Gの注射針をつけたツベルクリンシリンジで採取した。まず最初に、血球の形態学的観察を行って、その後各々の実験に供した。
血リンパに浮遊した状態の血球は、まず最初に生きた状態を倒立顕微鏡(ダイアフォトTMD、日本光学社)を用いて位相差条件下で観察した。次に、生きた血球に対して超生体染色を施した。超生体染色の方法は、マガキの血球を観察した菅原(1993)に準じ、若干の改変を加えて以下のように行った。
0.25%ニュートラルレッドおよび0.2%ヤーヌスグリーン(ともにエタノール溶液)を調製して、これを原液とした。使用時に両者を混合してエタノールで10倍に希釈した使用液を調製し、これをスライドグラスに2、3滴のせてからガラス棒を用いて均等に引き延ばし、乾燥色素膜を作製した。この上に採取した血リンパの1滴を静かにのせ、直ちにカバーグラスをかけて周囲をマニキュアで封入した。観察は生物顕微鏡(バイオフォト、日本光学社)下で標本作製から15分以内に油浸レンズ(1,000倍)を用いて行った。