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(C) 養殖フランスガキの生体防御能の測定

 

【材料および方法】

材料のフランスガキは、(b)の成長および性成熟過程の観察に用いたのと同じ試料を用いた。すなわち、系統保存している母貝から1994年6月に人工採苗し、女川湾竹ノ浦の筏で垂下養殖している4年貝である。1998年5月6日に舞根湾に、また、6月4日に松島湾東名地先と石巻湾野蒜沖に、これらの貝のうちの約100個体ずつを移植して、各調査海域における垂下試験飼育を開始した。

試験個体の採集は竹ノ浦と舞根では、6月16日に、そして東名地先と野蒜沖では6月24日に開始し、その後も少なくとも毎月1回の採集を行うことを原則とした。6、7月については、各調査対象地点から10個体ずつ、8月以降は5個体ずつを採集して実験に供した。

対象とする組織は、フランスガキを含む二枚貝類の体液である血リンパ(これは、二枚貝において、ヒトなど哺乳類における血液とリンパ液を合わせた役割を担っていると考えられる)とそこに浮遊する血球とした。二枚貝の血球は、ヒトなどでみた場合、白血球系の細胞、特に好中球やマクロファージに類似した機能を有していると考えられる。すなわち、細菌などの異物の侵襲や炎症を起こしている局所に最初に現れて、異物に対する非特異的な貪食反応を行う初期防御の担当細胞である。二枚貝などの無脊椎動物には、抗体を産生するリンパ球は存在しないし、一部の種を除くと酸素の運搬を担当する赤血球に相当する細胞も有していない。また、カキ類の場合、液性の防御因子の活性が一般に低いと考えられており、生体防御を考慮する時、細胞性防御の中心である血球が最も重要な細胞であると考えられることから、今回の研究においても、血球の働きを重点的に調べることとした。

生体防御能を評価する目的で最初に設定した測定項目は、1.血球の貪食能、2.血球の活性酸素生成能、3.血球の酵素活性の3項目である。昨年度の調査・研究で実施した、血球の遊走能および血リンパの赤血球凝集活性の2つの測定項目については、簡便かつ高感度あるいは安定的な測定方法を見い出すことができなかったこと、血球のみを測定の対象にしたことなどから本年度は実施しなかった。

 

 

 

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