という傾向は、他の調査地点と同様であったが、低下の幅は小さく、秋から冬にかけての水温は竹ノ浦が最も高かった。7月、8月における測定水深ごとの差は、2.7℃から4.4℃と大きいものであった。しかし、それ以外の時期については水深の違いによる水温の差は、ほとんど認められなかった。
舞根は、全体的な変動については、竹ノ浦の測定結果に類似していた。最高水温は4地点の中で最も低く、9月表層の22.4℃であった。また、その他の時期についても、竹ノ浦の値よりも約1℃低かった。舞根で特徴的なこととしては、いずれの時期においても測定水深ごとの水温差が小さく、最も差が大きかったのは、8月9日測定時の表層と水深5mの1℃であった。
2) 溶存酸素量について
溶存酸素量についても、4つの調査地点によって大きな違いが認められた(図(a)-5、6)。調査水深によってばらつきはみられるものの、東名地先において、9月までは他の3地点と比較して明らかに低い値を示した。特に、フランスガキを垂下している水深3mで著しく低く、カキが影響を受けた可能性がある。実際、7、8、そして9月の調査で一部の試料に斃死が認められた。その後、10月からは溶存酸素量が回復し、他の3地点と比較して同等か若干高い値になった。この10月に入っての大幅な上昇は、昨年度の調査でも観測された。その主な要因としては、東名地先のフランスガキ垂下場所付近に繁茂していたアマモの枯死が9月にみられたこと、また調査地点を含めた比較的浅い海域で、大量に垂下されていた養殖マガキが沖出しされたことの2つの状況の変化によって、測定点周囲の海水交換率が高くなったことが考えられる。
いずれの時期においても高い値を示し、調査水深ごとでばらつきの小さかったのは、野蒜沖であった。これは、調査地点が周囲の開けた海域であるため、潮通しが良いことによると考えられる。竹ノ浦、舞根とも、野蒜沖と比較すると値は低いが、水深ごとの違いはほとんどみられず、夏期である7、8月に十分な溶存酸素量を示すなど安定していた。
3) 塩分濃度について
塩分濃度については、大きな変動が予想された表層だけでなく、水深1m、そしてフランスガキの垂下水深である3m層でも変動した(図(a)-7、8)。竹ノ浦と舞根については、8、9月で若干の低下がみられるものの、常に30%前後で安定していた。野蒜沖の表層と水深1mで7月から8月にかけて観測された塩分濃度の大きな低下は、測定地点の方向に流入する鳴瀬川と吉田川の水量が、梅雨明けがなかった平成10年の多雨現象を反映して増加した結果であると推定される。しかし、9月に観測された東名地先の水深3mにおける塩分濃度の著しい低下については明解な説明が困難である。この時期に集中豪雨と低温状態が続いていたことは事実であるが、関連については不明である。