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B丸の場合は整備の際にピストンや、シリンダーライナーの抜出しを行なっていますので、それらから合板底部に落ちたごみの掃除が充分でなく運転中にフィルターにつまったものですが、合板底部の掃除の際に最後をボロでふき取りますと繊維が付着して、それでフィルターがつまることもありますので、スポンジを使用して最後の洗油を吸取る方がよいと思います。フィルターのつまりによる事故を防ぐために、機関分解整備の後には潤滑油を注入する前に、フラッシング油を入れて予備潤滑油ポンプを回し、潤滑油管内や合板底部等をよく清浄する必要があります。この場合最初は主軸受入口管のジョイントを外して直接ベッド内に落ちるようにし、最低8時間位は循環させ、出来ればフラッシング油の温度を50℃位まで上昇させるべきです。また、フラッシング油が循環している間にパイプをハンマーで軽く叩いて付着物を落とすようにします。この間、潤滑油フィルターがつまらなくなるまで根気よく何度も掃除をくり返します。最後に主軸受注油管を接続して再び2〜3時間フラッシング油を各軸受部にも循環させ、この時にはクランク軸を時々ターニングして、各部に油が充分注油されることを確認します。もちろんこの時にもフィルターがつまれば掃除をすることは言うまでもありません。この後フラッシング油を全部抜き取り、潤滑油を注入する訳ですが、冷却器やパイプ内のものまで抜き取ることは不可能ですから、フラッシング油を購入する際には、残ったものが潤滑油と混合してもよいものであることを油屋さんに確認する必要があります。潤滑油を再び予備ポンプで充分循環させて、クランク軸をターニングして各部に潤滑油がゆきわたったのを確認してからエンジンを起動すると、B丸のような事故は防げると思います。フラッシング油はドラム缶1本(200l)で3万円位ですが、この出費を惜しむと後からとんだ目に合うことがありますのでくれぐれも注意して下さい。また、フラッシング油の注入、抜取りの手間をいやがって、やらない人もありますが、この手間も惜しまずに機関整備の後には必ず実施するよう心掛けましょう。新しくエンジンを据付けた時にも船体合せで配管したパイプなどもありますので、これらの清浄もかねて起動前にフラッシングをする習慣をつけることも大切なことだと思います。

 

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