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1・2 中低速エンジン

ダイハツ3DK-20型機関  ダイハツディーゼル株式会社

 

1. まえがき

当社の中速機関はPS型に始まりその後DS、DL型と続き、最新シリーズのDK型に至っています。新DK型機関はDK-20、DK-26、DK-28、DK-36で構成されDK-20型機関は1993年12月より出荷を開始し、舶用補機関をはじめ舶用主機関、コージェネ用機関として現在までに850台以上の販売実績を持ち、高い評価を頂いています。

ここにご紹介します3DK-20型機関は、広範囲の出力域を単一型式でカバーすべく5、6、8気筒と気筒数展開を進めてきましたDK-20型機関の3気筒の最小機関です。

 

2. 開発のねらい

3DK-20型機関は5、6、8DK-20と同一基本構造としながら、3気筒機関特有の振動問題に対してはバランサー軸を採用することにより解決しました。

3DK-20型機関は舶用補機関としても最も需要の多い400kWクラス発電機に適合する機関として開発しました。このクラスの機関として小口径の6気筒機関ではなく、DK-20型機関の3気筒機関を開発したねらいは次の通りです。

1] 低質油の安定燃焼  2] 低負荷性能の改善

3] メンテナンス費用の削減  4] 850台以上の販売実績で確認された信頼性

5] 発電機セット全長の短縮

 

3. 特徴

(1) 低質油の安定燃焼

従来ではA重油焚きの高速機関の分野であった出力域まで低質油焚きが可能です。

空気と燃料との混合に必要な燃料噴霧の到達距離が200mmのシリンダ径で十分にとれることと、高圧噴射による燃料の微粒化とによって低質油の安定燃焼を可能としました。

(2) 低負荷性能の改善

同一出力において6気筒機関より平均有効圧力が高いことから、発電機仕様では避けることのできない低負荷運転でも安定した低質油運転が可能です。

(3) メンテナンスコストの削減

シリンダ径のわずかな違いではシリンダ当たりのメンテナンス時間は変わらないことを考慮すると、定期メンテナンスに要する時間は気筒数に比例し、6気筒機関の1/2となります。また交換部品費用は1/2とまではならないまでもかなりのコストメリットが期待できます。

(4) 排気エミッションの削減

過給機のマッチング、燃焼室形状と噴射系のマッチング、適正圧縮比の採用により、標準仕様で低燃費を維持した状態でIMOのNOx規制にも対応可能です。

(5) 低振動、低騒音

振動に対してはバランスウェイト容量とバランサー軸によって最もバランスのよい6気筒機関並の低振動を実現しました。

騒音に対してはクランクケースの剛性強化とクランクケースと吸気管一体による燃焼室廻りの二重壁構造、シリンダライナの剛性強化、ピストンとシリンダライナ間の適正隙間、タイミングギヤケースのクランクケースとの一体化等の構造面からの対応と燃料噴射タイミングの適正化により低騒音化を図りました。

(6) 高い信頼性

ピストン、ピストンリング、吸排気弁、燃料ノズル、クランクピン・メインベアリング、シリンダライナ等のシリンダ廻り主要部品は、850台以上の販売実績のある5、6、8DK-20と共通で、既にその信頼性は確認済みです。

 

 

 

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