4.4.3 一般的なシステム形態
(1) 小規模(PC-LAN)
小規模システムの一般的な構成は、PC-LAN形態である。
1台のサーバーと必要な台数のクライアントPCをHUBで接続することによって、容易に接続出来、業務の規模に合わせて順次、クライアントの増設、サーバーの増設が可能である。
サーバー1台、クライアント数台が最小の構成であり、サーバーにデータベースを乗せる。初期のシステムではアプリケーションも全てサーバーに乗せていたが、現在は画面関係のアプリケーションはクライアントに乗せて、負荷を分散させるとともに、レスポンスの向上を図った3層クライアント・サーバージステム(*1)に移行されつつある。
データベースには幾つかの選択肢があるが、各業務の特質や利用するベンダーの保有ノウハウによって決定されるであろう。
当形態の限界としては、一個所の事業所内にとどめるべきであり、複数の分散された事業所にまたがる場合は薦められない。ただし、便宜的に外出先、出張所程度のクライアントからのアクセスに関しては問題ない。
システムの可用性としては、ハード、基本ソフト共に障害が多く、若干低い。この辺りは基幹業務がダウンサイジングなどで移管されるに連れ、改善される傾向にある。
最小構成での価格帯は数十万円から数百万円である。
ダウンサイジングという言葉が一般的になり、基幹業務をホストやオフコンからLANに移行する傾向にあるが、サーバーを数十台も結合するようなシステムは、信頼性の低さから見直されつつある。初期費用は減少するが、小さなトラブルが各所で頻発すると、メンテナンス費用が増大するためである。
(*1) 3層クライアント・サーバーシステム
処理をデータ層(データベース)、ファンクション層(SQL(*2)、その他の検索アプリケーション)、プレゼンテーション層(画面等、ユーザーインターフェース)に分割し、プレゼンテーション層の処理をクライアント側で行い、データ層、ファンクション層の処理はサーバーに乗せて、データベースの検索はサーバー側で行い、結果のみを返すような形態とする方法。メリットとしては、クライアントの負荷の軽減。要求と結果のみの送受信となるためにLAN上を流れるデータ量の削減。データの排他ロック時間の縮小などがあげられる。デメリットとしては、サーバーの負荷が増大するため、処理に十分な性能のサーバーが必要となる。
(*2) SQL:Structured Query Language
リレーショナル・データベース(RDB)データ構造の定義や、RDB内のデータに対する照会や更新などの操作を行う言語。データベースアクセスの事実上の標準言語となっている。
現在ISOでは、オブジェクト指向対応の拡張を中心とした仕様;SQL3の標準化を進めている。