木型の作成法としては「当たり付け」と「沿い書き」がある。
その違いを[図3-1-5 木型によるマーキン]に示す。
●「沿い書き」とは、型縁に沿って描けば、形状が得られる現図情報の与え方で、図例にみるように、型は曲線に合わせて削られている。
マーキンされた線は、墨差の幅だけ型の外になる。このことが、かって(ガス道)切巾を無視していた根拠である。
●「当り付け」は、型板の上でだけ断続して形状の点列が与えられる方式である。この図例は、型に「拾われた」点位置を「当り付け」して、あとバッテンか「糸投げ」で所定の曲線に再現する様子を示した。曲線に型板を削らないから木型作成は簡単だが、それだけにマーキンは手間がかかる。
ここで「糸投げ」とは、張糸で曲線を「打つ」ことをいう。直線は、2点間に糸を張り、線の真上に垂直に糸を持ち上げて放てば、正確に打てるが、この「糸投げ」は斜めに糸を持ち上げて、中間のもう1点めがけて「投げ」放つのである。この技に熟練すれば、確かに3点を通る曲線はできるが、これが所定の曲線とはいえないのも、また確かである。これは3点をバッテンで押さえても同じことで、よくよく注意しておきたい。与えられるのが3点なら、いずれにしても曲線表現の近似度は低く、単に3点の位置だけが曲線上にあるという意味でしかない。
マーキン能率を上げるため「沿い書き」式にする標準型やミシン鋸切断型には、型板の代わりにベニア板やボード:圧搾繊維板を使うとよい。精度の狂わない耐水材もあり、板厚が薄いので、自動ホッチキスで効率的に型を縫い合わすことができる。