突合せ溶接開先は、溶接方法と板厚から基本形状が決まり、その形を英文字になぞらえて、I,V,Y,Xと4区分している。
X開先には、突合せ端にI部:ルートを持つダブルY(Y2つの1つをひっくり返して足元で繋いだ形の)開先を含む。
これに板厚差の逃し方:裏逃げ、表逃げ、振分け…により、サーピンが組み合わされ、4X3=12の形状パターンとなる。
隅肉溶接開先は、取り合い角度から溶接脚長の相当開先が決められ、裏当金わかし込みを加えて、5パターンとなる。
開先角度の指示には[図2.1.17 開先角定義]に示すように2通り:-
●開先内角:θ
●板端内角:η
があり、切断機器の火口角度目盛ゲージは、このどちらかになっている。統一しようとすれば、どちらかのゲージを取り替えなければならない。
設計図示は、溶接所要角:突合せ溶接は2θ、隅肉溶接ではθであり、θの方が一般的のようなので、本書もこれに倣うことにする。
こうすると全ての開先形状は、[図2.1.18開先形状指示]にて規定できる。
部材内に示されたTi深さだけ、部材外に記された角度θi上の開先を取れ…その積み重ねで開先全形状を指定するのである。
この規定の[上面=マーキン面]としての表示例を、[図2.1.19 開先表示]に示す。
順次説明すると:-
#1:さきに例示したように直切、板継ではI開先である。指示量が多いので、コの字型とせず、外として機械加工の「仕上げマーク」を援用した。
#2:上面V開先。
マーキンを意味する頭文字:Mを、マーキン面位置に記入、上面を明示する。
このサーピンなしV開先のみ、角度指示がなければ、30度と解釈する。
(一般的で量が多いので、デホルト:指示省略とするのである。)
したがって突合せ手溶接開先角Vが50度の造船所なら、25度と読み替える。