いずれも、AH、DHの機能も持つ。型定規表示は、部分円弧状なぐり描きに半径数値を添える。最も多い一般的な半径の表示は、省略:デホルトに決めておくと効率的。例として[図2.1.3 帯鋼取材のF.B定規]の右端部のように単純になる。
クローズ・タイプ:-
●水切スキャロップ:部分的にルートギャップ付45度レ形開先を設ける。
目的は二つある。一つは、水密部材に板継溶接線を通し、板継溶接完了後に開先内「わかし込み」で埋める。も一つは、水密のため「わかし込み」溶接で、隅肉溶接部の「つたい」の縁を切る。
●ビードスキャロップ:板継溶接が先に完了していて、盛り上がったビードがある。その上に部材を取り付けるとき、ビードをハツリ取る代わりに、前もって盛り上がり分だけぬすんで削っておけばよい。
いずれも、オープン・タイプのように巻き溶接がないのも狙い目である。詳細形状は標準化し、対応する型定規ならびにマーキンの表示要領も[図2.1.6 開孔と表示]に例示するような取決めが要る。
このクローズ・タイプのスキャロップを、板継溶接版とすれば、その隅肉溶接版は「隅切」である。[図2.1.7 隅切と表示]参照。
●ビード隅切:ビードスキャロップに対応する。隅肉脚長分だけ角を落とす。
●水切隅切:水切スキャロップに対応する。レ形開先わかし込みとなる。
これら隅切要領も、クローズ・タイプ・スキャロップに同じく標準化が必要不可欠である。また、これらの現図指示に関しては、前もって組付けと溶接の順序と水切の部位…が決まってなければならない。
演習題:-
組立溶接順序・水密要領の決定は、現図技術の範囲か?…でなければ、どこで?
2.1.3 部材端の位置:粗切・端伸ばし・予定線
部材端を原寸位置で切らず(+)した位置にするのを、総称して「伸し」という。
「伸し」には、後工程での必要に応じた余裕を残すのと、熱加工や溶接による収縮を補うのと、二つの目的がある。
工作上の変形収縮を予測し、その補正量を部材端に加えて仕上げる「伸し」を、「端伸し」または「伸し仕上げ」という。