まえがき
本報告書は、平成10年度「アジア・太平洋諸国の海運振興協力調査事業」として日本財団から援助をいただき実施した調査報告書であります。
本事業調査は、平成10年9月20日から同年10月3日までの14日間にわたり、2名の調査員の、インドネシア、タイ、マレーシア及び台湾における海運当局、船社、邦船社事務所関係者等との面接、意見交換及び資料収集等により行われました。
アジア経済の成長とともに、アジアをめぐる貿易も拡大し、それに伴って、アジアをめぐる海運市場も拡大するなかで、中国、台湾、韓国、シンガポールなどアジア船社が躍進を続けてきております。
しかし一方では、日本の景気停滞とタイ通貨危機に端を発したアジア経済の低迷は、アジア・太平洋地域における海運市場にもその影を大きく落としております。熾烈な国際競争の中にあって、大手海運企業の合併、船社間の提携、米国海運法の動き、荷主の物流コスト低減の動き等、海運の経営環境は一層厳しいものとなっております。さらに、海運業界にも、地球温暖化防止、環境問題と安全対策等の対応が強く求められております。
先進海運国である我が国としては、アジア・太平洋地域の経済活動の基礎となる海運秩序の新しい枠組みの構築を図る必要があります。今回の調査は域内各国の海運の実態や基礎的情報、海運政策を調査したものであり、我が国の国際海運振興のための方策策定の一助になればと願うものであります。
本調査の実施にあたり、多大なご指導をいただいた運輸省をはじめ、在インドネシア日本大使館、在マレーシア日本大使館、在タイ日本大使館、(財)交流協会台北事務所、現地政府関係機関ならびに関係者各位に深く感謝申し上げます。
平成11年3月
社団法人 海外運輸協力協会
会長 竹内 良夫