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された深刻で困難な状態からしだいに復興しつつある。1993年以来、多国間、二国間を間わず、多くの支援機関の惜しみない援助を得て、これらの破壊を受けたインフラストラクチャーを立て直す復旧・開発プログラムが設定された。特に、道路部門では、この国の多くの地域へのアクセスが可能になるという恩恵を生み出し、改良の成果である経済的発展を生み出し始めている。しかしながら、この国の残りの地域へのアクセスを可能にし、信頼できる安全なアクセスのためのかなり多くの工事がまだ残っている。

 

運輸部門の将来の課題

運輸インフラストラクチャーの将来の難題は、単に輸送部門における社会的間接資本ストックの目録の青写真や、過去のパターンを基にして必要とされる投資の構想の数を増やしたりするだけでは克服できないものである。投資とサービス提供における非効率と無駄に取り組むことであり、より効果的に利用者の需要に応えることが必要なのである。

平均して、現在のほとんどの農村地域における道路は、その60%以上が生産活動には利用できないものである。多くの公共輸送部門において、特に鉄道と道路においては、労働力の半分以上は余剰であると見られている。道路建設への高額の投資は、メンテナンスの欠如のために無駄になってきた。全ての形態の輸送インフラストラクチャーのストックとサービスについての統計的情報が不十分であり、統計的追跡記録が貧弱であることも深刻な問題である。

別の側面としては、汚染、騒音、安全、資源などの面での輸送インフラストラクチャーの外的副次的効果であり、現在ますます増大している。現在はアルコールや薬物の濫用も無視されているように見える。最も深刻な汚染は、プノンペン市内のさまざまな微粒子やガスによる大気汚染である。これまでのところ、カンボディアでは大気汚染排出物についての評価も、その経済的コストについての見積りもなされていない。オイル流出事故や輸送廃棄物による水質汚染や土壌汚染が数年前から懸念されているが、予防措置は生ぬるすぎると思われる。台湾からの3,000トンの水銀廃棄物は、深刻な廃棄物輸送の経験であった。

このみすぼらしい実績が、やりかたを変えて、もっと効果的で無駄のないやり方にしなければならないということの強い根拠となる。要するに、インフラストラクチャーのストックの量からインフラストラクチャーのサービスの質へと関心を広げる必要があり、そうした転換のための機は熟しているのである。近年、さまざな国際機関や国内の研究所や個人の学者によって、カンボディアの輸送に関する調査がなされている。例えば、「中長期的な発展のためのカンボディアの再建と開発に関する包括的調査」、「カンボデ

 

 

 

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