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*1 Yit, Bunna、輸送経済協力シンポジウム: 「メコン流域地域に向けてのカンボディア輸送インフラストラクチャー」、1998年10月、東京、日本、未発行レポート。

全人口は1998年で概算1143万人であり、人口一人当りの所得は293米ドルで、女性の所得は男性の所得の半分を超えている。全人口の約3分の2が中央平野部に居住している。カンボディアの人口増加率は1990年代で年間3.0%、2000年から2010年の間は年間1.4%と見積もられている。この数字はASEANの他の国に比較すると高いものである。

1993年以降、カンボディアは、経済運営システムを市場経済の全面的活用に向けて傾注しているが、貧弱な行政システムと不十分なインフラストラクチャーが経済成長の足かせになっている。しかしながら、潜在的な経済成長は1997年の半ばまではかなり高いものがあった。GDPの成長率は、1990年の1.2%から1995年の7.6%と比較的高い率を示したが、1996年には6.5%と鈍化し、1997年の前半期は6%程度であった。残念なことに、成長率は1997年の7月戦闘の後、急激に落ち込み、1997年としては2%を少し上回る程度で終ってしまった。1998年については、この1年の政治的な不安定のため、成長はわずかな増加にとどまると予想されている。

高い人口密度を持つ主要人口集中地域は9つの大きな都市部であり、主要国道はそこで交差している。主要大都市はプノンペン(998,000人)、シアヌークビル(155,000人)、バタムバン(139,700人)、シエムレアップ(119,000人)、シソポン(98,000人)、コンポンソム(67,000人)、タクマウ(58,000人)、プレイベン(55,000人)、コンポンチャム(45,000人)である。大事なのは、1997年これらの都市は国道、県道、メコン川へのアクセスが相対的に恵まれているため、人口の増加が続くと考えられていたことである。

これらの都市がうまく経済的発展を遂げてきたのには、都市、地区、地域間での、また最終的には近隣諸国との商品交換によるところが大きく、また、そこから政府に、こうしたニーズに応える運輸政策の展開が要求されるのである。乗用車、トラックおよび他の輸送手段の数は1972以前の水準に達し、その持続的な増加は、カンボディアにおける運輸インフラストラクチャーの発展、および他のアジア諸国、メコン流域の国々とのカンボディア経済の統合の重要な指標となっている。

 

3) カンボディアの全国運輸システム

輸送は商品とサービスの生産における経済的要因の1つである。カンボディアの輸送システムの基本的な機能は、市場に出来上がって来る製品と社会的サービスヘのアクセスを供給することである。ハイウェイ、鉄道および内陸水路の路線は図1に表示されている。

 

 

 

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