6 財務分析
6.1 解撤事業の採算性を支配する主要因
解撤事業におけるキャッシュフロー概念は、老朽船を船主から買い取り、それをスクラップし、中古品の売却益と鉄のスクラップから再生される鉄筋の売却益を得ることになる。したがって、老朽船をいかに安く買い取るか、それをいかに安く解体するか、更に中古品や再生鉄が如何に高く売れるかということで決まる。採算性の調査はそれらの動向をきわめ、キャッシュフローが成り立つかどうかの判定をすることである。
6.2 評価結果
財務分析の結果を表6.1.1にキャッシュフロー、表6.1.2に財務的内部収益率に示す。これらの計算は以下の条件に基づいている。
1) 総事業費のうち、海外協力基金の借款で85%、残りをスエズ運河局の予算で賄う物とする。
2) 年間8隻のVLCCを解体する計画とする。
3) 内部収益率の計算の期間は40年とし、20年目で修理改修費を見込む。
この結果、事業の採算性は楽観はできないが何とか成立し、財務的内部収益率は6.3%となった。