なお、米国統一商法典(UCC §7-104)および旧統一売買法(USA §27)は、流通性書類について、次のような規定を設けている。
「第1項次の書類は流通性(negotiable)である。
(a) 「持参人式」("to bearer")または「記名指図人式」("to the order" of a named person)
(b) 貿易取引で認められている場合、「記名譲受人式」("to a named person or assigns")
第2項上記以外の書類は非流通性(non-negotiable)である。」
(3) 日本における船荷証券の概念
わが国の国際海上物品運送法はヘーグ・ルールの国内法であり、第1条(適用範囲)において、「船舶による物品運送で、船積港又は陸揚港が本邦以外にあるものに適用する」旨を定めている。したがって、国際海上物品運送法の適用対象は、ヘーグ・ルールよりも広く、B/Lまたは類似の権原証券という限定がないことから、傭船契約を除く国際海上物品運送一般に適用される。
船荷証券には、記名式B/L(Straight B/L)、指図式B/L(Order B/L)および持参人式B/L(Bearer B/L)がある。記名式B/Lには、非流通性(Non-Negotiable)と明記しなければならない。あとの2つは流通性(Negotiable)である。記名式B/Lは"transfer"できるが、"assignable"ではない。この点は、英国、ドイツ、フランス等でも同様である。
これに対して、わが国では、商法第574条(法律上、当然の指図証券性)および第776条の規定により、裏書を禁止する旨の記載がない限り、記名式B/Lでも裏書により譲渡できる。その結果、日本ではB/Lといえば裏書・譲渡できるものと解釈されがちである。
(4) ヘーグ・ルールとヘーグ・ヴィスビー・ルール
同ルールには、「海上物品運送に関する船荷証券またはこれに類似の権原証券により証明される運送契約に対してのみ適用される」旨の規定がある。ただし、同ルールは、船荷証券の定義を規定していない。