ルールは本来、船荷証券にのみ適用されるルールであり、日本以外の法律が適用される場合には、こうしたルールが適用されなくなり、契約自由の原則に従って電子B/Lの約款が文言通り効果を持ったり、逆に米国ハーター法等各国の一般の運送法が適用される事態が考えられます。』
まさに、貿易システムのグローバル・スタンダードと国内法の整合性の問題であり、非整合ゆえに、余分なリスクが存在し得る事を示唆している。当件は、法的問題の範疇で検討すべきものであるが、むしろ電子化の実現と導入により、グローバル・スタングード化が促進される事を期待したい。
1.4 システム上のリスク
貿易手続の電子化の方法論、および業務上の技術的課題を検討するにあたっては、あくまで電子システムが論理的に期待される通りに開発・導入され、また、正当に運営される事を前提として論議を進めて来た。しかしながら、現実の電子システムは、それ自体の導入・運営において内在するリスクを抱えている事を忘れてはならない。ここでは、それらのリスクについてその一覧を上げておこう。
(1) 暗号技術の利用に関する課題
・ 利用できる暗号アルゴリズムとその限界(証明不可能)
・ 暗号アルゴリズム利用モードごとの使用可能性
・ 暗号鍵長とリスクの関係
・ 政策により制限される暗号技術
・ 暗号アルゴリズムを実態化するソフトウェアの信頼性
(2) セキュリティ・プロトコルの課題
・ セキュリティ・ダイアログの強度
・ メッセージヘの組み込み構造の弱点
・ プロトコル処理プログラムが持つセキュリティ・ホール
(3) 鍵管理の課題
・ RAの本人確認手段
・ CAの信頼性
・ 法環境のおよばない地域にあるCA
・ CA/RAがメインテナンスする情報の現在性