(6) 今後の衛星データ通信
昨年以来イリジウムを中心の衛星データ通信に関する進展が急速に高まってきている。ここでは今後普及が予想される衛星データ通信について述べる。抽出したサービスは下記のとおりである。
●モバイル向け通信サービス
・イリジウム
・ICO
・グローバルスター
●固定アンテナを利用した通信サービス
・テレデシック
・スカイブリッジ
1) イリジウム
1999年1月1日からイリジウム衛星携帯電話のサービスが本格的に開始された。さらにページャー(ポケットベル)のサービスも同日始まった。
イリジウムは、高度780kmの低軌道上に打ち上げられた66機の低軌道周回衛星による衛星通信網を構築しており、地上から発信された電波を衛星間でリレーしながら最寄りの地上局に伝える。名前の由来は、当初の予定では77機の衛星を打ち上げる計画であったので、同数の元素記号にちなみイリジウムと名付けられた。衛星は地球全域をカバーしており、地球上のいかなる場所から通話することが可能となる。また、音声のほか、ページャー(日本語100文字の送信が可能)、ファクシミリ、データ通信などのマルチメディアとしての利用も可能である。(データ通信サービスの開始は1999年の春頃である)
端末は国内の携帯電話サービスとの兼用型(デュアルモード)でサイズは57×146×63mm(京セラ製)、重さは430g、価格は37万円である。現在の可搬型インマルサットの装置は重量19kg、価格は750万程度かかる。また、赤道上36000kmにあるインマルサットの衛星に比べ、イリジウムの衛星は低軌道なので音声遅延も少ない。
通信料金については、加入料1万円、月額基本料金$50である。通話料は世界中で使用できる端末を使って日本から発信した場合1分$5.31となり、インマルサットより若干安い。
イリジウムブロジェクトは米モトローラ社が1990年6月に提唱した。現在は、15カ国19事業体が出資、国内からは京セラ、第二電電(DDI)が参画し日本イリジウムを設立している。