海上工事におけるMCAの利用実績としては、1987〜91年に実施された関西国際空港のI期埋立造成工事があげられる。このときは、デジタルMCAではなくアナログMCAが使用(デジタルの通信性能はアナログの約6倍)され、また大規模な通信ネットワークを構築するという必要性から、電波は独自の周波域を取得(郵政省電機通信管理局への申請・許可が必要)した。主な用途は下記のとおりである。
・水質監視船からのデータ送信
・全船舶への気象・海象データの伝送、一般船舶の航行状況・操業漁船状況等の伝達、緊急時の連絡
・潮位データの送信
・多数の警戒船への指揮、運用
・作業船への安全航行の指示
また、運輸省港湾技術研究所、五洋建設株式会社においてMCA等を利用した施工管理システムに関する研究が行われているので、ここに紹介する。
1] 概要
GPS、GIS、MCA、インターネット等の新技術を活用した効率的な施工管理システムを構築し、その有用性の確認を行っている。
2] 施工管理システムの目的
土砂投入による埋立工事を効率的に実施するため、土運船を効率的、かつ安全に運航管理でき、深浅測量にて施工状況を的確に把握するシステムの構築を目的としている。
3] 管理情報項目
・土運船の運航に関する情報
土運船名、位置、進行方向、基地港出港・帰港時刻、航跡記録
・海底深浅状況に関する情報
施工前、施工後における深浅測量結果
・気象・海象に関する情報
天候、風速、風向、波高、波向、潮位
・緊急時に関する情報
事故の連絡等
・施工状況に関する情報
土砂投入位置、土砂投入量