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2] 通信の高速性

通信処理を簡略化することにより、通信サービスを提供する側にとって、新たに大規模な設備の投資を行う必要がないという利点があり、またユーザにとっては、大容量/高速の通信を比較的安い料金で利用できるという利点がある。

 

3] 回線の多重化

フレームリレーは、1本の通信回路を利用して複数の相手と通信の多重化を行うことができる。NTTのサービスでは、最大32カ所との同時通信が可能である。

 

4] データの信頼性

フレームリレーでは、通信を行なう両端の端末がLAN上のサーバやパソコンのように、何らかの通信制御用プロトコル(通信するためのルール)を持っていることを想定している。このため、フレームリレーでは、通常行われるデータの信頼性のチェックを一切行なっていない。つまり、端末から送られてきたデータを、あたかもバケツリレーのようにただひたすら目的地に対して次から次へと送り出し、個々のデータの信頼性には一切感知しない。このため、フレームリレー網を通してデータの信頼性を確保するためには、端末で、データが消失してもそれを再送するしくみ(TCP/IPのような通信プロトコル)を用意する必要がある。LAN環境で使われるアプリケーション・プログラムには、通信途中でデータが壊れても大丈夫なように、データの信頼性を確保するプロトコルを含んでいるのが普通である。したがって、LAN間接続で利用する限り、フレームリレー特有のデータの信頼性の低下は問題にはならない。

 

5] 通信料の課金方式

フレームリレーは、通信を行なったデータ量に対して料金がカウントされる。INSネット64の回線交換サービスのように、たまに流れる小さなデータのために回線が切れなくなり、高額な通信料を請求されるといったことはない。(最近のダイヤルアップルータはこれを防ぐ機能を持ったものが多い)

フレームリレーサービスでは、交換設備や広域通信の幹線をユーザ間で共有するため、きわめて公共性の高いサービスといえる。このため、NTTでは、フレームリレーサービスにおいて受益者負担の考えから、従量制課金のサービスとして提供してきたが、従量制課金では、LAN間接続のようにデータ通信量を特定にしにくいシステムに対して、通信コストの予測が困難であり、費用対効果の算出が難しいといった欠点も含んでいた。

このような需要に応えるため、NTTでは1996年11月より、従来の従量制課金のサービスに加え、「スーパーリレーFR-タイプ1」と呼ばれる定額料金の通信サービス(月額64Kbps=7000円、128Kbps=1万3000円)を開始した。さらに、サービスの質を落としてもより安いフレームリレーサービスを要望するユーザのために、1997年4月からは、NTTフレームリレーサービスに「スーパーリレーFR-タイプ2」が追加され、回線使用料3万1000円、通信費4000円(固定)、通信速度64Kbps、2カ所との接続のみ、というサービスを開始した。

このような、いろいろの価格と品質の通信サービスが提供されることにより、INSネット、専用回線やフレームリレーと、それぞれに特徴のある通信サービスの中から、ユーザのネットワークシステムにおける通信料や接続拠点の距離といった、利用環境に適したサービスの選択が可能となっている。

注)フレームリレーサービスは、東京〜大阪〜札幌〜福岡の各支店間を接続するといった長距離間向きのサービスである。例えば数十kmといった県内の拠点を結ぶネットワークをフレームリレーで構築した場合は、逆に専用回線よりも通信費用が高くつく場合がある。

 

 

 

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