日本財団 図書館


2] 河口港湾の問題

上中流域への長江輸送は、外航船のダイレクト寄港が難しいため、河口部分で積み替えられることが不可欠である。そのトランジットポイントとしては上海港と南京港があげられるが、実際には上海港がメインとなっている。事実、中国の大手長江水運企業の場合でも、上海港ですべてのトランシップを行っている。

上海港は97年にはすでに250万TEUを取扱い、世界のトップ10港湾の仲間入りをして、急激に荷物が増加している。反面、埠頭能力の整備は急がれているものの、供給能力は不足気味である。したがって、ポートコンジェスチョンが発生しやすい。その場合、荷役の優先順位としては外航船の荷役が優先され、上海─長江を運航するような内航の河川用船舶はバース待ちを余儀なくされるケースが多い。

また、長江内陸水運会社のサービスは、基本的にはCommon Serviceと呼ばれる「貨物を受託し本船の輸送量に達したら出港する」形式が多く採られており、スケジュール通りの定期的な輸送サービスが確立しているといった状況にない。

しかし、日系船会社にみるように日本からの本船のスケジュールにあわせ、使用本船を固定し長江往復に利用している例もある。ところが、これも武漢近辺の中流までのサービスであり、重慶のような上流はCommon Serviceに頼っており、固定的なスケジュールによるサービスが成立しにくい原因となっている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION