● 5000Km3を超える地球上で最大級の山体崩壊が一度に起きたとすれば波高300mに達する巨大な津波が発生し、太平洋全域を襲ったに違いない。
● 山体崩壊がコーラウ火山の活動期(約250万年前)に起きたものか、最近の50万年以内の火山活動などの引き金で起きたものか未解決である。
● ハワイオアフ島のコーラウ火山は約300万年前にできた楯状火山である。
● コーラウ火山は主成分、同位体組成のいずれから見てもハワイホットスポット火山群の中で特異は端成分を形成する。
● コーラウ火山の北東部は大規模な山体崩壊により失われ、幅100km延長200kmに達するNuuanu Landslideを生じた。
● 我々はコーラウ火山の陸上部分と深海底のNuuanu LandslideをJAMSTECの深海調査船を用いて地質調査した。
● 1998年夏にはNuuanu Landslideの正確な海底地形図を完成し、その10ヶ所から海底岩石を採取した。
● これまでの我々の調査の結果、Nuuanu Landslide中最大のTuscaloosa海山については、崩壊以前は火山の陸上部分であった事が解った。
● TuscaloosaなどNuunanu Landslideの各地点から回収した岩石試料の大部分はオアフ島の陸上に露出するコーラウ火山の化学組成とは異なる。
● ハワイ型楯状火山の化学組成はその一生の間に大きく変動し、ロイヒ海山のアルカリ玄武岩から始まり、キラウエア火山のソレイアイト、マウナロア火山のソレイアイトを経て、最終段階にSi02に濃集したコーラウ火山のソレイアイトに進化するかも知れない。
● もう一つの可能性は、現在のオアフ島のすぐ北東側にマウナロア火山に似た組成の溶岩からなる失われた楯状火山が存在し、その崩壊によってNuuanu Landslideの大部分が供給された事である。
● 大規模山体崩壊により露出したハワイ火山の巨大切断面を調査する事により、ハワイ型火山の一生の活動史を復元する事が可能かもしれない。
● ハワイ型火山の成長史はマントルプルーム上に火山が誕生し、成熟し、衰退する様を克明に描く地球上でもっとも貴重な資料である。