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グリーンランド氷床掘削
初期極地氷盤ドリリング活動
チェスター・C・ラングウェイ、ジュニア
ニューヨーク州立大学バッファーロー校名誉教授
過去の地球上の環境条件に関する記録は限られている。氷床から古代の記録を収集する新しいアプローチが、米国SIPRE(*1)チームにより、1950年代初頭、長い氷床コアの回収が可能な深海ドリリング技術の開発と共に開始された。一回目の掘削は北西グリーンランドに於いて、1956年から1957年にかけて機械式システムにより行われ、305mと411mの深さから氷コアが回収された。1958年と1959年には南極大陸で同じドリリングシステムが使われ、305mと268mの深さから氷床コアが回収された。これら初期ドリリングの成功と氷床コアの分析結果は十分に科学的に役立ち、その後の米国における関連研究プログラムの継続と発展につながり、さらに他のSCAR(*2)諸国の興味をとりわけ南極大陸に向けることとならた。
米CRREL(*3)は新しいダウンボアホールシステムを使い、1966年にはグリーンランドのキャンプセンチュリー(1375m)の基盤岩において、1968年には南極大陸のバードステーションにおいて柱状掘削に成功した。その頃米国でのコア研究は学際的科学研究の場に発展し、他の米国、欧州そしてアジアからの参加をみていた。最初の本当の意味での統合した複合国際ドリリング及びコア研究プログラム(GISP)は、US/デンマーク/スイスのグループにより、1971年から1981までグリーンランドに於いて実行された。そこではデンマークの開発と運用によるドリリングシステムによりDye-3に於いて深さ2037mからのコアの回収に成功した。1981年以来多くの掘削作業がグリーンランドと南極大陸で行われ、また続けられている。こうして回収された数千メーターに及ぶコアに関する、物理的および化学的な特性の詳細かつ膨大な研究が、現在までに行われてきた。研究結果は、25万年程前のある地域における古代の連続した詳細記録をもたらしている。それはいくつかの謎を解明する一方、我々の地球活動に対する観念を、真剣に再考する必要があることを示唆している。
*1 雪氷永久凍土層研究所、ウィラメット、イリノイ州
*2 南極研究科学委員会
*3 寒地工学研究所、ハノーヴァー、ニューハンプシャー州