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地球物理学では、地震波反射法は発振機と受波器の距離が固定なので、コンスタントオフセット地震探査と呼んでいる。

2] 地震波屈折法

地震波屈折法は境界面に添って屈折するP波とS波の伝搬を追跡することによって行い、地殻の岩盤中、2〜30km以下の深さまでの構造や音速を得ることができる。境界面は音速の違いで決められ、上層をV1、下層をV2とし、通常V2>V1である。この種の地震探査は、移動音源と固定受波器で行われるので、可変オフセット地震探査と呼ばれる。

この論文では海洋で得られた地震波屈折のフィールドデータを取り扱う。

3] 地震波の屈折をともなう速度推定

このタイプにフィールドデータでは、図1に示すように、音源が受波器の上にある場合の反射波の伝搬時間をもつ、時間一距離平面とその深度での屈折波の軌跡の傾きから、それぞれの層中の音速を推定することは不可能になる。

 

4. 海洋での水深、堆積層、計測距離を考慮したケーススタディ

1] 導波路中の速度分散

図2は導波路中の波の干渉を示している。A点の波面はA'点の波面と干渉する。これらの2つの波の間で境界面を持つ条件は、2点間の位相変化φが、海底面での反射率の関数の中で2kπか(2k+1)πの時である。

φ=(2k+1)π(V1<V2の時)は、次式の周波数に関する条件が成り立つ。

 

061-1.gif

 

ここで、V1は層1の音速、hは導波路の高さ、sin(θ1)はスネルの法則、sin(θ1)/V1=sin(θ2)/V2(V2は層2の音速)を満たす。

海底での反射毎に位相が変化し、fとθ1の関係は、

 

061-2.gif

 

となる。ここで、V=V1/sin(θ1)。

すべての導波路の音速は周波数の関数であり、導波路中の波の伝搬は速度分散を持つことになる。これは音線理論からも導かれる。

ノーマルモード理論からは、等方な導波路は次式で書き表される。

 

 

 

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