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各図には5つの入射スペクトルと5つの反射スペクトルのもとに、できるだけ数多くの組み合わせとなるように試みられたケースが示されている。各ケースは防波堤に対し異なる反応を示し、異なるエネルギ分散及び伝達を生じ、結果として、種々のテストから得られたスペクトルとはやや異なるスペクトルを示す結果となった。小さく添字したものは防波堤の形態(空気注入、空気無し)を表わし、一方、括弧内の数字は原型における空気注入なしの自由にスウェイしたときの値をmで表わしている。表-1において、試みられたスペクトルのそれぞれに対し、入射波、反射波及び伝達波の波高と各テストに関連するスペクトルのピーク周期が報告されている。表-1の分析から、平均値の周りに波高の小さな変動と入射波のスペクトルに関連して、反射された及び伝達されたスペクトルのピーク周期の異なる値がテストケースに対応して示されている。

良く知られているように入射波と反射波の解析に用いられるGodaとSusukiの方法は、図-2に示すように上流及び下流の計測点において、2つの近接した水面計により、波のプロファイルを同時計測することに基づいている。GodaとSusukiの計算手法はKajimaによる方法及びThorntonとCalhounによる方法に類似しているが、調和部分に対し、フーリエ変換を用いることにより、より簡単な、そしてより融通性のある方法となっている。

縮尺モデルにおいては各計測点の水面計の間の距離は0.2mに設定された。入射及び反射スペクトルの有効周波数範囲は上記の方法で計算され、下記の式により得られる。

?1/Lmax=0.05 (5)

?1/Lmin=0.45 (6)

ここに、?1は各計測点の水面計の間の距離(モデルでは?1=0.2m)、LmaxとLminはそれぞれ入射及び反射スペクトルを形成する波の最大波長と最小波長である。原型の?1=3.2mを用いて、(5)式及び(6)式からLmaxとLminを求め、水深を考慮(d=6.4m)して、入射及び反射スペクトルの有効周波数の最大値及び最小値を求めることができ、以下に示す値となる。

fmin=0.1165s-1 (7)

fmax=0.4685s-1 (8)

実用上、スペクトル解析における最大周波数は下記に設定される。

fmax=0.4395s-1 (9)

反射構造物近辺に発生する波の高さによるエラーを避けるために、計測点は当該構造物から波長以上の距離を離して設けることが提案されている。図-2において、上流側の計測点についてはこの条件を満足しているのは明らかであるが、一方、下流側の計測点については水槽の長さに制限があるため、いつもこの条件を満足しているとは限らない。

全てのスペクトル解析は、モデルの時間で280秒継続する不規則波中で行なわれた。そして、結果として、有義周期により異なるが種々の模擬されたスペクトルに対し、170〜350の範囲の波の中で実験が行われた。従って、スペクトル解析に必要だと言われている波の最小数(約200)は必ずしも達成できていない。

 

 

 

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