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残念ながらNokin氏は、1998年の夏に行われる6,000m級無人探査機「Victor」の準備のため不在であった。

次にIFREMERの構成について、OHPおよびホワイトボードを使用して説明があった。なお、訪問中の対談は終始和やかな雰囲気の中おこなわれ、説明の途中に生じた質問事項に対しても随時会話が交わされた。

センターからは新たに竣工された「みらい」「かいれい」に関する情報およびミッション等の情報が渡された。

以下、調査した内容を記す。

(1) IFREMERは1984年6月にフランス国内の海洋分野全般の研究開発に関する一貫性と効率を強化する為、水産科学技術研究所と国立海洋開発センターとが合併されて設立された国立機関である。総裁はPierre David氏。特に深海調査研究のため6,000m級有人潜水調査船「Nautile」、3,000m級有人潜水船「Cyana」等を有している世界でも第一級の総合海洋研究所である。また、IFREMERはフランス国内にパリ郊外にある本部のほか、Brest、Nautes、Boulogne-sur-Mer、Toulonの4つの研究センターを有し、従業員は約1,200人である。研究者の多くはBrestにおり、今回訪問したToulon Centerは有人潜水船、無人探査機、各種海洋機器の開発を行う技術者の拠点である。

(2) ツーロン・センターはフランス南部、地中海に面する軍港としても有名なツーロンにある。同センターには、Underwater Technology Department(DITI/lSM)、Software Development Department(DITI/DSI)、Technical Support Service(DITI/STC)が置かれ、現在200人程の職員がいる。今回対応していただいたMichel氏の部署は今年の8月に予定されている6,000m級無人潜水機「Victor」の準備に追われているとの事だった。

(3) 6,000m級無人潜水機「Victor」(以下Victor6000と称す)は現在開発の最終段階にあるROVである。当センターが所有する10,000m級無人潜水機「かいこう」はランチャー方式のROVであるが、Victor6,000はディプレッサ(重錘)方式のROVである。ティプレッサからビークルまでの2次ケーブル長は100mであり、ケーブル内に7本の光ファイバーケーブルをもつ。ビークルは4機の水平スラスタと2機の垂直スラスタをもち、観測機器として、5台のTVカメラ、1本のマニピュレータが搭載されている。ペイロードは最大100kgまで搭載可能と大きなもので、ビークル底部に「かご型観測機器」を装着することが出来る。この「かご型観測機器」は大きさも最大でビークル底部と同面積、最大重量は100kgと自由度があり、各研究者がそれぞれの用途に応じて観測機器を設計・搭載する事が出来る。また、「かご型観測機器」はビークル底部に取り付けられる格好をしているため、取り付けた観測機器による浮力バランスの調整もビークルの観測機器が集中する前面に配置したときよりも容易に調整が取れるように思えた。

このVictor6000は1998年8月に大西洋において海域試験を行う予定になっている。

 

 

 

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