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フォールトツリー評価のその他の結果は重要性係数の開発である。この係数は、システムの信頼性が重要となるリスクのある範囲に対して解析者が焦点を合わせることの助けとなる。リスク軽減量とリスク増加量の二つの量が典型的に計算される、期待通りにBOPが評価されるためには、人的ミスが結果に対して重要となる。リスクを軽減する(信頼性を向上する)ために最も大きな部分を占める項目は、稼働中のポッドが故障したときに、ポッドを切り替えることに対する指示、認識及び意志である。リスク軽減の見地から重要となるもう一つの点は、サブシーマニフォルド油圧レギュレータとそれぞれのポッドのアキュムレータの高い重要性である。シアラム自体の信頼性が重要であることが確認されたが、システムにおける単一の故障であるとの認識によりシアラム自体の故障に関する歴史的なデータは入手できない。シアラム自体の問題はデータの欠落である。シアラム以外の、ADSを実施するために必要なBOPの機能の故障のリスクを高める最も重要な要素は、自動離脱を起動する作業者の態度である。リスクを低く維持するためには、ADSを実施する基準の設定と簡潔・明瞭な作業指示が必要である。

 

Insights

解析の過程において、Hydril社のBOPとコントロールシステムの現状及び将来の信頼性に影響を与えるいくつかの知見が得られた。

解析の中での対象としたのは、BOPの総体的な信頼性を向上させるための範囲である。これらは総体的なリスクに大きな影響を与えるとは思われないが、良い信頼性を反映しており、もし比較的簡単に実施できるのであればBOPの信頼性を高めることができる。BOPとコントロールシステムの最終的な組立に先立ち、研究の結論として、それぞれの改良が設計において実行された。

第一の点は、ライザーコネクターの主及び副アンロックである。主及び副アンロックによりライザーコネクターのアンロックに冗長性を付加できた。しかしながら、この冗長性は同一の油圧供給(1,500psiのサブシーマニフォルド)に依存している。もしこれらの内一つにポッド用の3,000psiの油圧が供給されるなら、ライザーディスコネクト機能の信頼性が向上し、ADS機能の故障の総体的な確率は約10%減少する。この改良はシステムの完成前になされたが、この影響は本論文の結果には表れていない。

もう一つの点は、ソレノイド起動カードのソレノイド起動回路の配置における改良による信頼性の向上である。それぞれのサブシーポッドの電子機器は5つのソレノイド起動カードを含んでおり、このカードはそれぞれが16のソレノイド起動回路を有している。もし一つのカードが、カードの物理的故障やカードのAlteraチップ部分の故障等により使えなくなってしまうと、16個全ての回路が使用不可となってしまう。カードの故障による重大な影響を避けるため、冗長性機能用のソレノイドはできる限り他のカードから起動されるようにすべきである。総体的な冗長性がシステムの中に設計されているため、このことはシステム全体の信頼性に大きな影響を与えないものの、良い信頼性に対する技術的慣行を反映して実施された。

 

 

 

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