フォールトツリーモデルの構築は、評価すべき(一般には最高位の事象とされる)望ましくない状況を定義することから始まる。この事象は広義でも狭義でも定義が可能であるが、その定義により解析の範囲が決まってしまうので、定義する場合には十分な注意を払う必要がある。通常、この事象は望まれる目的が達成できないこと、例えば「自動離脱の失敗」等と定義される。最高位事象が定義されると、どのようにその事象が発生するのかを決定するために、「シアラムでパイプの切断ができなかった」と言うような基本事象、または「シアラムヘの油圧供給ができなかった」と言ったような一般事象として、システムの中のそれぞれの小さな事象をシステマティックに再検討する。これらの事象は、最高位事象と同様の方法で評価されるために「AND」または「OR」の論理ゲートで表現される。モデリングの過程は、これらの全ての事象が、基本事象及び関連論理ゲートと定義されるまで継続される。そしてフオールドツリー論理モデルは、最高位事象を引き起こす基本事象の組合せを決定するために評価される。「cutset」は、要求される解析の目的に応じて、失敗のデータが適用されなければ定性的になり、失敗のデータが適用されれば定量的となる。
BOP Control System Model Overview
前の節で定義された成功基準がフォールトツリーモデルの構築の出発点となる。ADS作業とウェルコントロール作業に対して明確化された成功基準は、定量的リスク評価を実施用のフォールトツリー最上位論理モデルを定義する失敗基準と読み変えられる。二つのフォールトツリー最上位論理モデルの定義は以下の通りである。
1. 自動離脱作業の重要なファンクションがなされない失敗は以下を含む。
シアラムを閉められない
ライザーをBOPスタックから離脱できない
上部及び下部チョークラインを閉じられない
上部及び下部キルラインを閉じられない
上部アニュラーを開けられない
2. ウェルコントルールが適切に行うことの失敗は以下を含む。
上部アニュラーを閉められない
上部及び下部チョークラインを開けられない
上部及び下部キルラインを開けられない
3つのパイプラムの内の2つ、またはシアラムを閉めることが要求されるが、冗長性があることから、これらはウェルコントロールの失敗に対しては大きく寄与することは少ない。ラムに関連するシステムの一部で、アニュラーやチョーク・キルラインと共通のもの(油圧、電力等)は、他のファンクションの一部として既に含まれている。冗長性によるラムの高い信頼性故に、ウェルコントロールに関してはラムはモデルに含まれていない。ADS作業とウェルコントロール作業用に構築された最上位論理モデルをそれぞれ図3及び図4に示す。この図に示されている三角形の事象は、それぞれが完全なフォールトツリーモデルである。
フォールトツリーモデルは、Hydril社とTransocean Offshore社により与えられた設計及び作業情報に基づいて構築された。電気─油圧モデルはパイロットソレノイド弁、油