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る解析家によるシステムの初期検討に基づいて構築される。この選択においては、解析の目的、解析結果の使用法、システムの信頼性に影響を与える構成要素やシステムの相互関係等のファクターを考慮する。

単一の制御回路の簡素化したダイアグラムを図1に示す。フォールトツリー解析のために構築されたシステム境界は以下のものを含んでいる。1)ファンクションを作動させるのに必要な電気─油圧システム(サブシーシステムに油圧を供給する船上の機器は除く)、2)ブルー及びイエローのMUXサブシーポッド(電気─油圧バルブの位置を制御する二重の冗長性を有する電子機器を含む)、3)船上からサブシーポッドに信号を伝達するモデムとMUXケーブル、4)中央制御ユニット、5)ドリラーズパネル、6)無停電電源:UPS(船体サービス用の主スイッチボードや補助発電器スイッチボードを除く)。船上の油圧供給システムや電力システムとのインターフェースは影響があるものの、モデルにはその詳細は含まれていない。

 

Fault Tree Development

方法論

フォールトツリー解析は、推論的な判断と、もし発生したら望まない事象に発展してしまう可能性のある故障の様々な組合せを決定する判断仮定の図示をするために使用する解析ツールである。これはまた、単一システムまたは複合システムの評価、及びシステムの相互作用と相互関係の評価のために使用される組織的・システマティックなアプローチである。フォールトツリー解析は、どのようなタイプまたはグループのシステムに対しても定量的・定性的解析結果を得るために使用することができるツールである。

フォールトツリーモデルは、「AND」と「OR」の論理ゲートと個々の故障・失敗に類似した基本事象から構築されている。図2に示されている「ANDゲート」、「ORゲート」「移動(Transfer)」、及び「基本事象」のシンボルは、フォールトツリー解析において頻繁に使用されるシンボルである。これらのシンボルの定義を以下に述べる。

ORゲート(図の「OR-GATE」参照)

単数または複数の入力値の内、一つでも「真」のものがあれば、その出力を「真」とする論理ゲートである。図2を例に取れば、基本事象1から基本事象4までの何れかが発生したとして「ORゲート」に入力されれば、「ORゲート」は発生したと判断する。

ANDゲート(図の「AND-GATE」参照)

単数または複数の入力値の内、全てが「真」であれば、その出力を「真」とする論理ゲートである。図2を例に取れば、基本事象1と「ORゲート」が発生したと入力されれば、「ANDゲート」は発生したと判断する。

移動(図2の三角形が下についている箱)

解析者が便利なように、モデルの他の場所(例えば他のページ)にその事象のより詳細が記述されていることを示している。

基本事象(図2の円が下についている箱)

このシンボルは、基本的構成要素の故障、人的失敗、保守管理の不能を表している。これらの事象は、モデルの最下位の分析にある。それぞれの事象は、定量的な結果が必要であれば、故障・失敗の確率を含める。

 

 

 

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