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大型船型掘削船は、超深海への最初の需要が激増した時に営利上実行可能であると思われた唯一の船舶であった。掘削コントラクタは、掘削船隊を深海への増大し続ける需要に適合させるために、その改造とグレードアップに十分に時間を費やした。この業界が沈滞していた間に減少してしまった技術スタッフは、改造ニーズに遅れないように精いっぱい働いていたため、費用対効果の高い超深海への解決策の検討は殆どなされなかった。超深海リグの需要に先立ち、シャトル・タンカーの船体を超深海掘削システムを装備する掘削船に改造することのフィジビリティとこれらの油井を成功裡に掘削するのに十分なペイロードを証明するための主要研究が実施された。その大型船体と巨大荷重積載能力は、メイン・デッキの上方に高架されたプラットフォーム上に全掘削システムを装備し、それによって、基礎船体設計を事実上変更することなく維持することが技術的にフィージブルであるとした。シャトル・タンカーの船体形状は大量生産されていたため、造船所は正確な費用見積もりを提供することが可能であり、更に、設計がそれまで最高水準の建造技術により行われていたことから、魅力的であることを証明した。

この新しいマーケットの不確実さのために、多くのオペレータは、この掘削船は容易に元のFPSOやシャトル・タンカーに改造し直される選択肢があるという考えに付加的な安心感を持っていた。また、大型船型掘削船はたいてい、長期坑井産油を試験する能力に余裕を持たせ、原油を貯蔵できるように建造される。

この船体形状により可能とした極めて巨大な荷重の積載能力は、重量問題のリスクを殆どなくし、装備設計を迅速に行い、重量を最大限に活かすための設計に時間を費やさなくて済むようにした。これらの巨大な船舶が、引渡時にバリアブルロード能力の制限を受けないであろうし、船舶設計に関わる技術的な厄介事も最小限にして、この新しいマーケットで操業を開始することに殆ど疑いのないところである。

大排水量船型掘削船は、現存の船型掘削船を超える優れた運動性能を有し、潜在的には季節限定の北海での掘削操業にも利用可能であろう。これらの船舶は、船首方向に対するわずかな潮流の角度(概して10〜15度の範囲)に対してさえ大きな荷重がかかり、潮流の方向に非常に敏感である。このように、全体的な運動性能の減少は、結果としてうねりの状態での中程度の潮流角を環境条件とする。

 

3.3 従来型排水量船型掘削船

船型掘削船は、SEVEN SEASが米国東海岸の沖合での掘削のためにグレードアップされた1980年代初めから超深海域において操業してきた。21インチライザーシステムの大口径18-3/4インチBOPを活用するためのこれらの船舶の更なるグレードアップは、これらの船舶の実行限度を押し上げてきた。このクラスの船舶は十分に立証され、グレードアップでは実行できない限度の多くは新しい設計によって大いに改善することができる。

従来型排水量船型掘削船は、一般的に40,000L.T.未満の最大排水量を有する設計となる。このクラスで最近開発中の数例の新設計は、基本的には似ているが、現存の船隊に比べて推進装置、動力装置及び位置保持の信頼性における潜在的な重要な改善を示している。

 

 

 

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