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先だっての台風の連続で山も田んぼも小川も大分やられたようですが、それが全部仙台湾に出る。特に河川敷の大木が枝や根っこをつけたまま流れてきて、いろいろ被害を及ぼす。海岸に打ち上げられたゴミ、漁港の中に堆積されたゴミも大変ですが、なかなか行政側は対応してくれない。漁業廃棄物で海洋汚染をするなら我々が責任をとるのは当たり前ですが、台風で川から流れてきたゴミのの整理は行政側でやってほしい。早く行政側で海洋汚染の対策のきちんとした方向づけをしていただきたい。

 

【米山】小関さんにちょっとうかがいたい。畠山さんが「森は海の恋人」運動の絡みで植林を頑張ったりしている。その結果もあると思いますが、最近若干海がよくなっている、改善されているところもあるような話だったのですが、森林というか山の状況と、小関さんが実際に農業をやっていて、水の現状をどのような感じで受け止めていますか。

 

【小関】山の現状ですが、さっきパネルでお見せしたのは極端にひどいところなのです。林野庁は人員削減をやっていますが、森林伐採はどんどん少なくなってきました。これは我々の運動の成果のひとつだと思うのです。地元の山については、やはり地元で物事を言うというやり方が、功を奏したと思うのです。しかし、そういう運動がない場所に、どうしてもしわ寄せがいく状態のようです。青森営林局と秋田営林局の統合もありまして、営林署は今、中新田営林署は、「中新田森林管理センター」という名前に変わってしまいました。最近、営林署へ行ってもこちらの話を聞いてくれるし、やっぱり、公益的機能ですか、そういう声がどんどん強くなって、伐採はかなり抑えられています。

そして人工林ですが、「人工林」という名目を外して、「天然育成林」という、山の自然治癒力、人手はないから手をかけられないのですが、山林除草剤を散布して人工林を維持されるよりは、放置して、天然育成林にする。雑木がどんどん生えるのですが、その方が山の保水力も高まるし、山の復元には早いのです。畠山さんが植林している場所と、船形の奥山の方はまた条件が違いまして、豪雪地帯ですので、逆に植林してしまうと、スギ植林もブナ植林も同じになってしまうのです。要するに、人の手をかけないと、稲と同じように手をかけなくてはならなくなってしまうのです。ブナとか広葉樹は実生で育つから、意外と放置していても十分回復力は持つのです。そういう意味で、少しはよくなったのかなと思っています。

これは逆に、先程も林業という話をしたのですが、それが下火になる。だから、本当の林業をやってほしいのですが、森林伐採ではなくて、育てる林業と、木を切るタイミングをうまくして、山を生かした林業にすれば、より良いのではないかと思います。やはり木を切るなではなくて、日本の林業をやってほしい。営林署はドイツ林学から始まったのですが、もともと日本の国土に合った林業をすれば、すばらしい林が、森が復元すると思うのです。

 

【米山】山の方は、若干だけれど海の方に負荷するものが改善されていく方向にあって、ただ、まだまだいろいろなことを工夫していかなければいけない、という感じの話になりました。大葉さん、さっき畠山さんから、未来を担うというか、子どもたちと一緒に植林を頑張っている。海にも来てもらっていろいろ見てもらって、理解が非常に進んでいる。そういう意味では非常にいい傾向にある、という話がありました。

たぶん、私たちが頑張らなければいけないのはもちろんなのですが、子どもたちが一緒に頑張ってくれなければ、未来はないのではないかという感じがいたします。母親の立場からということもありますが、子どもたちと一緒になっての取り組みのようなことは、何かありますか。

 

【大葉】取り組みというほど大げさではないかもしれませんが、やはり今は遊びでも何でも、無機的なものが多くなっています。テレビゲームしかり。

 

 

 

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